C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1bのHCV複製増殖細胞(OR6)アッセイシステムを用いてmiR-33bのウイルス増殖への影響を検討してきた。本研究の発想はHCVが脂質代謝を利用して増殖することから発想したものである。培養細胞培地にオレイン酸を投与することでHCVが豊富な資質を使用できるような条件で行った。最終的にはmiR-33bが脂質代謝をコントロールする中心と考えられている転写因子SREBP(sterol regulatory element-binding protein)と共同している予測から、HCV感染状態でmiR-33bの亢進が予測された。しかしながらHCV感染の有無にかかわらずmiR-33bの発現は大きな変化がなかった。miR-33b阻害薬投与では、HCV複製は抑制される傾向にあるが、その程度は軽微であった。 一方、肝臓内で発現しているmicroRNAの一つであるmiR-27が脂質代謝に影響を与えることが報告されており、SingaraveluらはHepatology(2014;59:p98)でHCVとの関係を示した。我々は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者におけるmiR-27との関連を検討した。HCVではないが脂質代謝の異常が原因のNASHとmiR-27との関連を検討した。方法として、血液中のexosomesのmiR-27bの濃度を測定した。その結果miR-27bはNASHや肥満患者で健常人と比較して血中濃度が有意に高いことを見出した。パイロット試験ではHCV治療後の患者血液中のmiR-27bは健常者と同じであった。治療前後の血清中のmiR-27bの変化を測定し比較検討する。さらにHCV排除前後の変動とHCCの発癌の関与を解析することで、発癌予測に有用かを検討し解析を継続して行っている。
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