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2015 年度 実施状況報告書

HBV組み込みが肝発癌に果たす役割

研究課題

研究課題/領域番号 26461016
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

南 祐仁  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (60326220)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードB型肝炎ウイルス / 肝癌 / integration
研究実績の概要

B型肝炎ウイルス(HBV)は,ほぼすべての肝癌組織において宿主DNAに組み込まれた形で存在していることがわかっている.宿主遺伝子へのウイルス組み込みは,組み込まれた遺伝子産物の変異や,プロモーター領域への組み込みによる発現増加,逆に発現低下などさまざまな形で遺伝子発現に変異を与える可能性がある.
宿主細胞に組み込まれたHBVが肝細胞の増殖にどのような影響を与えるかを検討するため,慢性肝炎患者の肝組織,肝癌組織,担癌患者の非癌肝組織からDNAを抽出し,HBVとヒトのキメラDNAのクローニングを試みた.我々の開発したHBV-Alu PCR (Minami et al. Genomics 1995)を用いて,HBV特異的プライマーとヒトAlu配列特異的プライマーにより増幅されるPCR産物をクローニングし,ウイルス宿主接合部位を含む断片をスクリーニングし,ウイルスヒトキメラDNAを得た.
得られた宿主遺伝子につき,GenBankを検索し,ウイルス組み込みの見られる宿主遺伝子の特徴と染色体についての情報を解析した.1例においてヒトhTERT遺伝子近傍への組み込みが見られた.hTERTプロモーター領域は,近年HBV陽性肝癌において最も高頻度にHBV組み込みが見られる部位であることが明らかになってきた(南 日本臨牀73:409-413,2015).HBV組み込みによりhTERT活性が亢進し,肝発癌に至るまでの細胞増殖に有利な影響を及ぼしていることが示唆された.
また,別の組み込みはAXIN3遺伝子近傍に見られた.AXINはWNT/βカテニン経路に関与し,肝発癌における重要なドライバー経路である.この組み込みはすでに慢性肝炎組織においても観察され,ウイルス感染初期の段階ですでに発癌につながる遺伝子変化が起こっていることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HBV組み込みのある遺伝子の同定が進んでいる.

今後の研究の推進方策

hTERTやAXINなどHBV組み込みのあった遺伝子の肝発癌への意義について培養細胞での実証や文献的にも検索していく.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Future therapy for hepatitis B virus infection.2015

    • 著者名/発表者名
      Minami M
    • 雑誌名

      Clin J Gastroenterol

      巻: 8 ページ: 167-171

    • DOI

      10.1007/s12328-015-0590-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] HBVゲノムのインテグレーション2015

    • 著者名/発表者名
      南 祐仁
    • 雑誌名

      日本臨牀

      巻: 73(9) ページ: 409-413

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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