研究実績の概要 |
予定していた肝癌細胞株の3つのうちの2つであるでるHepG2, LTRLについて、それぞれのゲノム上のランダムな位置にCMVのプロモータ領域と抗生剤のピューロマイシン耐性遺伝子を導入した(Transposon Tagged Cell). 酵素であるトランスポゼースが、トランスポゾン導入に必須であることを確認するため、酵素のあり・なしでピューロマイシンによるセレクションを行った。その結果、トランスポゾンがコードされたプラスミド(pPB-SB-CMV-puro-SD)のみの導入で、酵素を導入しなかった細胞株では、ピューロマイシンにより全滅したが、トランスポゼースを同時に導入した細胞株ではコロニー形成が認められた。それぞれソラフェニブ耐性株を作成し、40種類のコロニーをピックアップし得た (HepG3ではTTC樹立に失敗、原因は不明)。これらに対してGenomeDNAを抽出しソラフェニブ耐性遺伝子の候補遺伝子を数個同定した。しかしPCR等の処理が困難であり、結果現時点で有効な遺伝子の同定に至っていない。今後もこの同定作業を継続している。また別の癌腫である食道癌細胞株であるTE-1, TE-15による放射線耐性についても同様の方法で研究を行った。これらに対するTransposon tagged cellを作成し一定量の放射線照射を施行、耐性株を作成しそこから耐性遺伝子候補としてMT-C01ノックアウトが同定された。それに基づいてMT-C01ノックアウト細胞に対して放射線照射を施行すると、アポトーシス抑制と増殖能力回復を認めた。この放射線耐性はアポトーシスに関わるCaspase カスケードの活性阻害が原因であると解明した。
|