研究課題/領域番号 |
26461021
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森川 賢一 北海道大学, 大学病院, 助教 (60384377)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / ウイルス粒子形成 / ウイルス分泌 / GPx8 / HCVNS3-4Aプロテアーゼ |
研究実績の概要 |
本研究の目的:近年HCV非構造(NS)蛋白3-4Aプロテアーゼがいくつかの細胞性宿主因子を標的とする事により、HCVの持続感染や病原性に関与していることが示唆されている。我々は、世界に先駆けてGPx8がHCVのNS3-4Aプロテアーゼにより切断される細胞性因子であり、GPx8はHCVの粒子形成・分泌に必須であると報告した。しかし、どのようにHCV粒子の形成が行われ分泌されていくのか、そこへGPx8がどのように関与しているのか、詳細な分子機構については解明されておらず、HCV粒子形成・分泌阻害をターゲットにした創薬開発も進んでいない。そこで、本研究ではHCV粒子形成・分泌へのGPx8関与のメカニズム解明に取り組むことにより、HCVの粒子形成機構、分泌機構、病原性発現機構を分子レベルで解明し、宿主因子をターゲットにした新たな抗ウイルス薬開発の基盤形成を目指す。
研究計画:平成26年度 A.GPx8および変異体選択的発現調整細胞株、恒常的GPx8ノックダウン細胞株の作成:テトラサイクリントランスアクチベーター(tTA)を利用したTet-offの系を利用し、U2-OS細胞またはHuh7細胞を元にGPx8およびその変異体(例:活性中心を不活化したもの、あらかじめHCV NS3-4Aプロテアーゼに切断された領域しか持たないもの等)を下流にもつプラスミドを遺伝子導入し、発現調整可能な安定細胞株を樹立した。これらの細胞株は、培養上清のテトラサイクリンの有無によりGPx8の発現を厳密に制御する事が可能となる。これらのGPx8は、内在性GPx8の影響を除外できるようsiRNA耐性の遺伝子変異を挿入し用いる。現在恒常的GPx8ノックダウン細胞株の作成にはレンチウイルスベクターを用いてshRNAにより作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度途中の2014年10月より所属研究機関を異動したため、実験室の引越しや物品の移動、新規研究室での実験系の立ち上げや確認作業のため当初の予定よりも若干遅延が出ているが、十分挽回可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画:平成27年度以降;B. 作成した細胞株へのHCV感染実験:作成したGPx8およびその変異体発現調整細胞株を培養液中のテトラサイクリンの有無により、蛋白非発現群と発現群に調整する。恒常的GPx8ノックダウン細胞株とコントロールshRNAを用いた細胞株の比較検討も同様に行う。;C. 候補蛋白の抽出:FLAG tag化したGPx8蛋白発現調整細胞株を培養液中のテトラサイクリンの有無により、蛋白非発現群と発現群に調整する。HCVccを感染させた後、抗FLAG tag抗体を用いて免疫沈降によりウイルス粒子形成、および分泌に関与する蛋白を抽出する。;D. 候補蛋白の解析:免疫沈降で得たサンプルをプロテオーム解析を行い同定する。;E. 同定蛋白の機能解析:同定された蛋白を分子生物学的、生物学的種手法を用いて機能解析を行う。①レンチウイルスベクターを用いて標的蛋白強発現細胞を作製し、ウイルス粒子形成および分泌への関与を解析する。②siRNAを使用し、標的蛋白を欠損させウイルス粒子形成および分泌への関与を解析する。③HCVサブジェノミックレプリコンシステムを用いて標的蛋白のHCV複製への影響を解析する。④HCVccを使用することにより、標的蛋白のHCVの生活環への関与を各段階毎に詳細に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中の2014年10月より所属研究機関を変更したため、当初の研究計画よりも若干遅延が出ているため、予算執行も同様になった。
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次年度使用額の使用計画 |
遅延分をH27年度に行うために、恒常的GPx8ノックダウン細胞株の作成にレンチウイルスベクターを用いてshRNAにより作成する。
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