研究課題
平成28年度の研究の主たる目標は,研究代表者らがクローニングしてきたTCF-4 isoformに内在する「SxxSS」モチーフのセリン残基をリン酸化する酵素の同定であった.これまでの知見や予備実験より,候補酵素としてNLK (Nemo-like kinase)とHIPK-2 (Homeodomain-interacting protein kinase 2)を挙げ検討してきた.その結果,NLKではTCF-4「SxxSS」モチーフの有意なリン酸化は観察されなかったが,HIPK-2によってリン酸化が促進されることがわかった.TOP/FOP assayによる検討では,「SxxSS」モチーフのセリン残基のリン酸化はそれを内在するTCF-4K isoformの転写活性を低下させた.HIPK-2とTCF-4Kを共発現させた細胞においてTCF-4Kと複合体を構成する蛋白を免疫沈降により調べたところ,リプレッサーであるCtBPやTLEが結合していることがわかった.したがって,HIPK-2が「SxxSS」モチーフのリン酸化を介してTCF-4のbeta-catenin依存的転写活性を負に制御している機構が明らかになった.ただし,269番目のセリン(「SxxSS」の先頭に位置するセリン)を特異的にリン酸化しているわけではなかった.したがって,siRNAを用いてHIPK-2をノックダウンした際,TCF-4Kの転写活性は確かに上昇するものの,それがWnt5a/SLUGの発現増強を伴ったEMTと連動しなかった.269番目のセリン残基を特異的に脱リン酸化する酵素の同定が課題として残った.
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Molecular Cancer Research
巻: - ページ: -
10.1158/1541-7786.
International Journal of Molecular Medicine
巻: 39 ページ: 407-414
10.3892/ijmm.2016.2831.
Stem Cell Investigation
巻: 3 ページ: 37
10.21037/sci.2016.08.03.
Oncotarget
巻: 7 ページ: 64400-64409
10.18632/oncotarget.10794.
Molecular Therapy. Methods & Clinical Development
巻: 3 ページ: 16025
10.1038/mtm.2016.25.
Neoplasia
巻: 18 ページ: 413-424
10.1016/j.neo.2016.05.001.
Cancer Chemotherapy and Pharmacology
巻: 77 ページ: 243-250
10.1007/s00280-015-2892-7.
http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/sentanca/