本研究ではWarburg効果が膵癌進展に及ぼす影響を解析し、癌細胞における代謝機構を標的とした新規治療法開発のための基礎検討を行うことを目的とした。膵癌細胞の代謝機構を変化させるマイクロRNA、miR-197をテトラサイクリン誘導性に発現する細胞株を樹立し、miR-197発現誘導により酸素消費量が低下することを確認した。miR-197発現誘導によって酸化的リン酸化・電子伝達系のコンポーネントを構成する多数の分子の発現が抑制されていることが判明した。また、膵癌細胞の上皮間葉形質転換を誘導する膵星細胞培養上清による刺激は、膵癌細胞の代謝プロファイルを大きく変化させることも明らかとなった。
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