研究課題
胆道がんは、発症早期の臨床症状に乏しくかつ浸潤性が高いことから、多くの症例では進行期で発見されることになり、その予後は不良な難治がんである。本研究では、今までの化学療法では治癒が困難であることが多い胆道がんについて、がんのドライバーとなっている新しい治療標的分子を同定し、革新的な診断と分子標的治療の基盤を確立することを目的としている。本年度は、胆道がん80症例よりRNAを抽出し、全RNAシークエンス解析を行なった。シークエンス品質のチェックの結果、前年度と合わせて160症例の全RNAシークエンス解析データを得ることができた。その内訳は肝内胆管がん109症例、肝外胆管がん40症例、胆嚢がん11症例である。このシークエンス解析によって、受容体キナーゼ融合遺伝子としてFGFR2-TXLNA, FGFR2-KCTD1を新しく同定した。更に、cAMPプロテインキナーゼの触媒サブユニットの融合遺伝子ATP1B-PRKACA, ATP1B-PRKACBを発見した。
2: おおむね順調に進展している
前年度と合わせ、160症例の胆道がん凍結検体の全RNAシークエンス解析データを得ることができた。
これまでの研究計画に変更はない。新規に同定したがんドライバー遺伝子候補をNIH3T3等の細胞に発現させて、造腫瘍性を調べる。候補阻害剤を用いて、ドライバー遺伝子対する効果を解析する。
施設改修があり、動物実験が少し遅れたため。
本年度速やかに動物実験を開始しており、そのまま使用予定である。
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Nature Genetics
巻: 47 ページ: 1003-1010
10.1038/ng.3375