研究課題
WHO2010分類では神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine neoplasms: NEN)は核分裂像、あるいはKi-67指数に基づきNET G1、NET G2、NEC G3に分類される。NECは単にKi-67指数の多寡で分類しており、WHO2000分類における高分化内分泌癌に相当するサブグループ(高分化NEC: 以下WDNEC)と低分化内分泌癌に相当するサブグループ(低分化NEC: 以下PDNEC)が存在する可能性がある。これまでに自験11例のNECを対象として臨床病理学的な予備な検討を行い、PDNEC (small cell NECあるいはlarge cell NEC)ではWDNECに比較して、1) 造影CTで乏血性、2) Ki-67指数が高い、3) 予後不良といった特徴に加え、4) WDNECでは認めなかったK-ras変異をPDNECでは高率に認め、小細胞肺癌同様にRbの染色性が低下、といった特徴を認めた(Hijioka et al. J Gastroenterol 2015)。しかし少数例の検討であり、膵原発のWDNECとPDNECの分類における有用性を多施設で検証を行っている。具体的にはWHO2010分類でNECと診断した膵原発NEN症例の未染色プレパラートを臨床情報をとともに愛知県がんセンター中央病院に収集し、病理中央判定を行い、K-ras変異はcycleve PCR法で、Rb発現はIHCで検討する。平成27年3月末までに85症例が集積された。今後、病理診断、遺伝子解析結果と臨床情報を対比し、予備的検討の外的妥当性を検証する。またその結果が現在進行中である消化器NECを対象とした第3相試験(JCOG 1213試験)の附随研究として適用可能かどうかを判断していく。
3: やや遅れている
症例の収集が平成26年度末まで遅れたことによって解析もやや遅れている。そのため、手術症例を対象に予定していた次世代シークエンサーによる解析予定も遅れている。
手術症例を対象に次世代シークエンサーによる解析を計画している。そのため、これまでに集積した症例のなかで解析可能な症例の抽出を行い、新たに研究計画書を作成する。ただし、集積した症例には不適格症例が含まれること、および手術症例が全体の1/4程度と少ないことより、これまでに協力していただいた施設に加え、新たに参加施設を増やすなどの方策が必要と考える。平成27年度は、PDNECとWDNECの鑑別を中心に、膵原発NEN診断におけるliquid biopsyの可能性について予備的検討を開始する予定するである。研究のスピードアップを目的に、研究分担者の追加も検討する。
平成26年度の研究の進捗が予定よりやや遅れたため、平成26年度予定していた研究の一部を平成27年度に持ち越したことによって次年度使用額が生じた。
遺伝子解析のための消耗品、病理組織標本の収集費用への支出を予定している。次世代シークエンサーによる解析と血中核酸測定(liquid biopsy)は外注する予定であり、それらの支払への支出を予定。研究成果の発表・情報収集のための学会出張、研究打ち合わせなどを目的とした会議出張にも支出する予定である。
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J Gastroenterol
巻: 50 ページ: 564-572
10.1007/s00535-014-0987-2