研究課題
近年、頭頸部がんが早期に発見され、内視鏡的に切除されるようになってきているが、食道がんの診断に通常用いられているルゴール染色は頭頸部領域に対して刺激性が強い為に使用することができないため、患者にとって刺激性のない検出法の開発がのぞまれている。申請者は、最近開発された、がん細胞の表面に特異的に発現している酵素の働きによって蛍光を発するプローブに着目し、これをサンプすることで頭頸部がんの領域のみを光らせて検出することができるかどうかを明らかにすることを目的とした。頭頸部表在がん7症例8病変の内視鏡的切除標本に対して、gamma-glutamyltranspeptidase (GGT)を標的とする蛍光プローブ(gGlu-HMRG)をふりかけると、数分以内にルゴール不染帯にほぼ一致して蛍光が観察された。免疫組織染色では、正常組織ではGGTの発現を認めなかったが、がん組織においてはGGTの発現が認められた。また、16症例17病変の内視鏡的切除標本に対して、dipeptidylpeptidase-IV (DPP-IV)を標的とする蛍光プローブ(EP-HMRG)をふりかけると、放射線治療歴のない病変ではルゴール不染帯にほぼ一致して散布後数分以内に蛍光が観察されたが、放射線治療歴のある病変からは蛍光が観察されなかった。免疫組織染色ではDPP-IVの発現部位は蛍光観察の所見とほぼ同様の所見であった。以上の結果から、本研究で用いたプローブはいずれも早期頭頸部がんの検出に有用であると考えられた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
BMC Cancer
巻: 16 ページ: 411
10.1186/s12885-016-2421-z