研究課題/領域番号 |
26461046
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
内藤 格 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30527750)
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研究分担者 |
中沢 貴宏 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (70305522) [辞退]
宮部 勝之 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00543985)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胆管生検 / FISH法 / 胆管癌 / IgG4関連硬化性胆管炎 / 7番染色体 |
研究実績の概要 |
胆管癌とIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の鑑別診断における内視鏡的胆管生検検体を用いたFISH法の有用性について検討を行った。胆管癌49例、IgG4-SC26例を対象として、HE染色、FISH法の診断能の比較検討を行った。また、胆管癌における染色体異常と予後の関連性についても検討を行った。 FISH法はUroVysionを使用して、3番染色体、7番染色体、17番染色体のpolysomyにつき検討を行った。50個の細胞中5個(>10%)以上のpolysomyを2種類以上の染色体で認めた場合をFISH法による悪性診断(FISH陽性)とした。 胆管癌27例(55.1%)がFISH陽性と診断されたが、IgG4-SCではFISH陽性は認めなかった。HE染色による胆管癌の診断感度は69.4%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率62.5%、正診率79.7%であった。FISH法による胆管癌の診断感度は55.1%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率53.2%、正診率70.3%であった。HE染色にFISH法を併用することにより、感度は69.4%から77.6%に上昇し、特異度は100%のままであった。7番染色体polysomy症例は非polysomy症例と比較して有意に開存曲線が不良であった(log-rank p = 0.015)。生存期間中央値は7番染色体polysomy症例11.9ヶ月、非polysomy症例20.7ヶ月であった。 内視鏡的胆管生検検体に対するFISH法は胆管癌、IgG4-SCとの鑑別診断に有用であり、7番染色体polysomy症例は胆管癌の予後不良マーカーになり得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
染色体異常と予後、化学療法の関連性につき検討を行っているところで、その検討が終了したのち、論文作成にとりかかる必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
胆管癌とIgG4-SCの鑑別診断におけるFISH法の有用性及び、7番染色体のpolysomy症例は胆管癌の予後不良因子であることは、当研究により明らかになったと考えられる。今後、染色体異常と予後、化学療法の関連性につき、さらなる検討を行い、その成果を英語論文や学会にて発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
染色体異常と予後、化学療法の関連性につき検討が行えておらず、英語論文の作成が終了していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
英語論文作成における英文校正、雑誌投稿、学会での発表に使用する予定である。
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