研究課題
胆管癌診断における内視鏡的胆管生検の病理組織学的診断能は未だ不十分であり、特に本邦ではIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)との鑑別が重要とされている。そこで我々は胆管癌の診断能向上のために、生検検体に対するfluorescence in situ hybridization(FISH)法を用いた新規診断方法の有用性についてIgG4-SCとの鑑別を中心に検討を行った。当院で経乳頭的胆管生検が施行された胆管癌49例、IgG4-SC 25例を対象とし、後ろ向きに検討を行った。FISH法は過去の文献を参考に、染色体3,7,17番セントロメアプローブ(CEP)と9p21領域特異プローブからなるUrovisionを用いて、各々重なりのない50個の細胞について染色体異常の割合を比較検討した。また染色体異常と予後との関連性についても検討した。3つのCEPのうち2つのプローブ以上で5個以上のpolysomyが確認された場合をFISH陽性とすると、FISH法における胆管癌の診断感度・特異度はそれぞれ55.1%,100%であった。HE染色にて悪性と確定診断されなかった15例中4例(27%)でFISH陽性と診断可能であり、FISH法の併用により診断感度を69.4%から77.6%へと向上させた。またCEP 7のpolysomyを示す症例では示さない症例と比較し、生存曲線が有意に不良であった(log-rank p=0.015、生存期間中央値11.9 vs 20.7ヵ月)。内視鏡的胆管生検におけるFISH法による染色体異常の検出は、胆管癌の診断能を向上させ、IgG4-SCとの鑑別診断に有用であった。またCEP 7のpolysomyが胆管癌の予後不良因子の倍もマーカーとなり得る可能性が示唆された。
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