研究課題/領域番号 |
26461047
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 洋一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80611087)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エンドサイトスコピーシステム / 食道癌 / 食道炎 / 血管新生 / リンパ管新生 / 腫瘍関連マクロファージ |
研究実績の概要 |
超拡大内視鏡GIF-Y0002は光学的に連続して380倍まで拡大可能である。生体染色を行うことで細胞の観察が容易であり生検診断の省略が可能であると報告してきた。昨年発表の英文論文「Endocytoscopic observation of various esophageal lesions at x600: can nuclear abnormality be recognized?Dis Esophagus 28:269-275, 2015」にて至適拡大倍率を臨床側からオリンパス社に提案し、第4世代ECSであるGIF-Y0074が試作された。500倍まで倍率を上げHi-visioin映像となりさらにスコープの口径も細くなり市販可能なレベルまで到達した。また、対象を十二指腸にも広げ、「Kumagai Yet al.Endocytoscopic observation of duodenal polyps associated with familial adenomatous polyposis: Report of four cases.Dig Endosc. 2015 Nov;27(7):778.」を発表した。食道に対するECS観察では食道癌と鑑別を要する食道炎を精密に観察することで「Kumagai Yet al.Endocytoscpic observation of various type esophagitis. Esophagus, 13(2), 200-207, 2016」を報告した。血管新生の検討では炎症性の血管新生因子に注目し「Kumagai Y, et al. Coexpression of COX-2 and iNOS in angiogenesis of superficial esophageal squamous cell carcinoma.Int Surg 100:733-743, 2015」を報告した。さらに炎症細胞のなかの腫瘍関連マクロファージに注目し「Kumagai Y et al. Tumor-associated macrophages and angiogenesis in early-stage esophageal squamous cell carcinoma. Esophagus (In press)」を報告した。発癌早期より炎症細胞浸潤が高度になるほど間質のマクロファージが増加し血管を誘導することを証明した。現在発癌早期のリンパ管新生についても検討を行っている。上記論文内容は消化器、内視鏡、外科系の多くの学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までにECSで生検診断省略するための至適倍率をつきとめ提案した。この我々の提案を採用し、オリンパス社が第4世代ECSであるGIF-Y0074が試作したことは評価されると考える。これは500倍まで倍率を上げHi-visioin映像となりさらにスコープの口径も細くなり市販可能なレベルまで到達した。また食道炎の論文も発表し悪性腫瘍の細胞像との違いが明確となり生検診断省略が近づいたと考えている。また、発癌早期の血管形態の変化の解明も血管新生因子の免疫染色が進み論文を公表している。また炎症細胞浸潤が血管の誘導に関与していることも証明され当初より研究の幅が広がっている。
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今後の研究の推進方策 |
ECS観察はさらに食道を軸にさらに胃、十二指腸にも対象を広げようとしている。さらに新規ECSであるGIF-Y0074の使用経験で論文作成を考えている。免疫染色ではVEGF-A,C,Dによる発癌早期の血管新生、リンパ管新生の解明を目指している。さらにHIF1, TPなどの血管新生因子との関連についても検討する。これにより発癌早期の血管新生因子のプロファイルを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出を予定していた免疫染色関連機器のレンタル料が大幅に減額されたため
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次年度使用額の使用計画 |
免疫染色、関連試薬に使用する。海外出張ISDE(シンガポール)の旅費にも使用する
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