研究課題/領域番号 |
26461048
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
加藤 智弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40185856)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Ulcerative colitis / 5-aminolevulinic acid / colitic neoplasia |
研究実績の概要 |
・Photodynamic diagnosis (PDD) of the detection of colitis-associated tumor by AFE (Autofluorecent endoscopy) using oral 5-ALA (5-aminolevulinic acid) during UC (ulcerative colitis) surveillanceの課題について,基礎的な検討,並びに臨床検討を平行して行っている. ・まず,基礎的な検討について,マウスのAPCKOマウスを利用したColitic neoplasiaでの5-ALAを利用した検討についての報告を海外に向けて,2014年5月のDDW2014(米国消化器病週間)で報告を行い,国内に向けては、2014年12月の日本消化器内視鏡学会関東地方会のSymposiumで報告を行ってきた. ・臨床面での検討については,昨年に引き続き症例数が限られているが,pilot studyレベルではあるものの,海外への発信として2014年10月のUEGW2014(欧州消化器病週間;United European Gastroenterology Week)で行った.並びに,2015年5月に行われたDDW(Digestive Disease Week 2015, Washington DC)でoral pesentationとして採用され,海外に向けて発信した. ・論文としては「潰瘍性大腸炎関連腫瘍の検出に対する,腫瘍親和性物質を用いた光線力学的診断」として報告した(Iwasaki T, Kato T, et al. Prog Dig Endosc 2015;86:83-86). ・これまでAnimal modelでのneoplasiaの(ALA代謝産物の)局在が特徴的であることを報告してきたが,症例数はまだ限られているものの,ヒトにおいてもその液化を反映する興味深い知見を得つつある.今後,さらに症例数を積み重ねることが必要と思われるが,2015年における海外での評価が得られていることもあり,これまでのUCのcolitic neoplasiaで手掛かりの乏しかった症例において有用な診断手段となり得る可能性があると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・臨床症例での検討数が遅れていると判断される.その理由として,前回も指摘したように、従来の検出方法とは全く異なる手法での検出方法,すなわち,腫瘍親和性物質を利用し蛍光内視鏡による(通常内視鏡では検出が極めて難しい)colitic cancerを検出する方法であり,医師はもちろん,対象となる潰瘍性大腸炎患者への認知度がやはり低いことなどによると推察される.可及的に対象者を募っているが,まだまだ同意者が限られている状況である.幸い,5-ALAが(脳神経腫瘍領域で)保険適応となり,当検出方法が認知されつつある.なお,現在のところ,実施内では副作用も発生していない. ・本研究を統括する研究代表者(加藤智弘)の所属が変更となり,予想していた本研究へのeffort率が当初より下げざるを得ない状況になったことも本研究の進行状況に影響があったものと思われる.しかし,平成28年度になり本研究の体制も本来通りになることから,本研究の最終年として本研究目標を完遂するように努力する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
Colitic neoplasiaは,潰瘍性大腸炎の治療が進み長期経過症例が今後増えてくることもあり,その合併症として重要であるが,一方で今なお診断が難しく今後の課題とされている.このcolitic neoplasiaの内視鏡での検出として,従来とは大きく異なる本法は,DDWやUEGWの複数の国際学会でoral presentation/posterとして評価された.今後,有力な診断ツールとなる可能性があり,最終年に向けて臨床的な評価を得るべく,さらに症例数を積み重ねて研究を進め,まとめたpublicationとして報告する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の達成状況についての項目通り,症例の蓄積数が当初より遅れており,そのために関連する5-ALAを含めた消耗品が予定額より少額に留まった事による.
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通りで,関連する薬剤関連を含めた消耗品額が(当初の予定より)増えることで,最終年として当初のほぼ予定通りとなる予定である.
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