研究課題/領域番号 |
26461051
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
榊原 守 北海道大学, 大学病院, 助教 (90349366)
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研究分担者 |
絹川 真太郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60399871)
筒井 裕之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264017)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心サルコイドーシス |
研究実績の概要 |
平成26年より本研究を開始し、当院にて、連続して心内膜心筋生検(EMB)を行った件数は57症例に達し、厳密に検体不良や非特異的染色を示した23例を除いた34症例(心サルコイドーシス群:8例、炎症性心疾患群:7例、非炎症性心疾患群:19例)を対象とし、PAB抗体の免疫染色による心サルコイドーシスの診断における有用性を検討した。 その結果、心サルコイドーシス群において、HE染色で、肉芽腫を認めた場合、PAB抗体の陽性率は、66.7%であった。また、心サルコイドーシス群と炎症性心疾患群を比較した場合、HE染色にて炎症巣を認めた場合、PAB抗体の陽性率は、それぞれ、83%、0%(p<0.05)であった。一方、3つの群において心筋内のPAB抗体陽性率は、有意差は認めなかった。すなわち、P.acnesの心筋内における潜伏感染は多いものと考えれた。今まで、心サルコイドーシスが疑われ、EMBを施行するも、炎症細胞浸潤のみ認めた場合は、非特異的所見として診断が、つかなったケースも少なくなかった。一方、このPAB抗体を用いた免疫染色を行うことにより、EMBで認められた炎症細胞の周囲に、抗体が陽性の場合には、心サルコイドーシスの補助的診断ができる可能性が示唆された。 心サルコイドーシスに対する従来のEMBによるHE染色のみでは、非乾酪性肉芽腫を含む病理学的診断が可能なケースは20%前後に限られている。そのため、PAB抗体を用いた免疫染色を追加することで、心サルコイドーシスの診断能の向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当研究の症例目標数は、各群10症例以上としている。現在、心サルコイドーシス群:8例、炎症性心疾患群:7例、非炎症性心疾患群:19例であり、今後、目標症例数に達することは可能と考える 昨年度も年に3回(2015年6月、11月、2016年3月)に共同研究をしている東京医科歯科大学病院 江石教授グループに研究の解析結果を報告し、本研究の進行状況の共有化と、有用性、問題点に関して議論した。また、2015年8月には、江石教授を当院にお招きし、サルコイドーシスの病因論に関してご講演を行っていただき、本研究に関する情報交換、情報共有を行った。 また、学会において、心筋症研究会(2015年7月:東京)心臓病学会(2015年9月:横浜)、心筋生検研究会(2015年11月:東京)、日本循環器学会(2016年3月:仙台)にて、当研究に関連する発表を行い、多くの先生方に情報を発信した。
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今後の研究の推進方策 |
各群10症例以上を目標としているため、引き続き、症例を集めていく予定である。 また、現在、臨床データや患者背景と免疫染色の因果関係も分析・検討している。 共同研究をしている東京医科歯科大学病院 江石先生グループと本年度も3回程度の情報交換を行う予定である。また、引き続き、多くの学会発表を行い、さらには、今後、英文雑誌:EHJまたは、Heart誌に投稿を目標としており、論文執筆準備中である。
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