研究課題/領域番号 |
26461052
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
竹内 利治 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10372278)
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研究分担者 |
蓑島 暁帆 旭川医科大学, 医学部, その他 (90645962)
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ハイブリッド・コンディショニング / リモート・コンディショニング / ポストコンディショニング / 急性心筋梗塞 / 再灌流障害 / 熱ショック蛋白 / 経皮的冠動脈インターベンション |
研究実績の概要 |
初回急性心筋梗塞症例で、発症12時間以内に冠動脈造影(CAG)およびカテーテルインターベンション治療を行う予定の症例を対象とし、コントロール群とハイブリッド・コンディショニング群の2群に無作為に割り付けをした。リモートコンディショニングは大腿部(下肢閉塞性動脈硬化症がある場合は上腕部)を加圧マスターを用いて5分間圧迫(収縮期血圧+50mmHg)、圧迫解除を5分間した後、再度5分間同様に加圧した。この加圧―除圧を3サイクル繰り返し行った。ポストコンディショニングは、直接バルーンによる拡張を行い、その後、30秒の再灌流と1分間のバルーン拡張を4回繰り返し、最終的に適切なサイズのステントを留置した。またHSP72, HSP73活性は再灌流前、再灌流直後から24時間までは4時間毎、以後72時間まで採血を行い、分離白血球中のHSP72, HSP73発現量を測定した。発症1週間以内の急性期に血流およびBMIPP心筋SPECT、さらに6カ月後の慢性期に再度TL SPECTを撮像し、心筋救済率を算出した。心臓MRIは発症14日以内と6ヶ月後に撮像し、ガドリニウム遅延造影の局在性および壁内深度について評価し、予後については1年間の心事故発生率を調査した。 症例はまだ少ないが、現時点で問題点がいくつか見られた。まず、意識下でリモートコンディショニングを行った際に、加圧時の疼痛が強く、加圧の減弱もしくは実行を断念せざるを得ない症例が多数みられている。また一例、大腿のマンシェットを巻いているために、IABP留置で対側の血管アクセスを使用する際に、再消毒が必要になることがあった。今後、リモート・コンディショニングの加圧部位、患者の鎮静などは検討すべき課題であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハイブリッド・コンディショニングはコメディカルとのチームワークが必要である。ハートチームを結成し、本法はスタッフ全員熟知している。 しかし、意識下でリモート・コンディショニングを行った際に、加圧時の疼痛が強いため頻拍を生じることがあり、加圧の減弱もしくは実行を断念せざるを得ない症例が多数みられている。また大腿部にマンシェットを巻いているために、IABP留置で対側の血管アクセスを使用する際に、再消毒が必要になった症例を経験した。このようにプロトコルからはずれてしまう患者が重なり、ハイブリッド・コンディショニングを完全に遂行できた症例は少ない。
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今後の研究の推進方策 |
ハイブリッド・コンディショニングはリモートコンディショニングが可能か否かが鍵である。まず、リモート・コンディショニングの加圧部位であるが、左上腕などは末梢ルートとして使用しているので困難。下腿でのリモート・コンディショニングも取り入れているが、大腿部と同程度の疼痛を訴えることが多い。また患者の過度の鎮静は血圧低下や呼吸抑制を招く恐れがある。投与量の調整は非常に難しいと思われるが、モルヒネの少量投与を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
リモート・コンディショニングを行うための自動か熱きの購入を予定していたが、予定購入価格より高価となってしまった。そのため、安価な手動式マンシェットタイプ加圧に変更したことにより、物品費が大幅に抑えられた。現時点では問題なく主義が施行できている。その予算はHSP測定試薬などに振り当てできるだけ多くの症例で測定する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度と同様にHSP測定試薬、フローサイトメトリー医師管理料、および事務用品の購入を予定。今年度中には中間解析を行う予定しており、国内・海外で発表を行う。また本研究に関する新たな知見を得るために、国際学会に参加するための旅費として使用する。
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