研究課題
虚血性心疾患に対する血行再建療法(経皮的冠動脈インターベンション;Percutaneous coronary intervention)に大きく貢献した薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent; DES)であるが、ベアメタルステント(bare metal stent; BMS)では見られなかった様々な問題(超遅発性ステント血栓症・冠攣縮・ステント内新規アテローム性動脈硬化症など)が指摘されている。これらはいずれも血管内皮機能障害が起因していると考えられ、特に冠攣縮は将来の心血管イベント発症の独立した危険因子と言われている。本研究は多施設共同レジストリーで、DES留置後の冠動脈内皮機能の経時的変化と長期予後の関連を検討することで、欧米人に比べて冠攣縮性狭心症の発症率が高い我が国において、DESの使用が長期予後に悪影響を及ぼすかどうかを明らかにすることである。本研究の対象患者のソースとなっている山梨PCIレジストリーに登録された症例の検討から、平成28年度は臨床研究において、1) 2型糖尿病と慢性腎臓病を合併した症例においては、血中レムナントリポ蛋白レベルは将来の心血管イベント発症の予測因子として有益であること、2) 心筋梗塞の既往がある安定狭心症症例において、末梢血stromal cell-derived factor-1α高値は2次心イベント発症を予測しうること、3) 急性期血行再建療法が成功した急性心筋梗塞症例において、低輝度の頸動脈プラークは、短期の梗塞責任冠動脈の陽性リモデリングおよびプラーク進展と関連すること、などを見出した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
J Cardiol
巻: 69 ページ: 529-535
10.1016/j.jjcc.2016.04.011
巻: 69 ページ: 320-325
10.1016/j.jjcc.2016.06.011
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.jjcc.2017.01.003