平成26年度より心不全患者の登録観察研究(Cure-HF Registry)を開始した。急性心不全で入院となった患者のうち、退院時に同意が取得された患者を登録し、退院時に心臓超音波検査と血清採取を行った。平成28年度末までに414名の心不全患者登録ができた。患者詳細は以下の通り。年齢中央値81歳。女性185名(45%)。Body Mass Index 21.6kg/m2. 平均収縮期血圧114mmHg. NYHA-III以上90名(22%)。心不全入院歴(3回以上)78名(19%)。平均左室駆出率48%。左室駆出率50%未満209例(50%)。心房細動合併例211例(51%)。高血圧268例(65%)。糖尿病114例(28%)。ACEi/ARB投与例281例(68%)。β遮断薬281例(68%)。ミネラルコルチコイド拮抗薬217例(52%)。 今後目標症例数800症例の登録終了後1年で全例の前向き予後調査が行われる予定である。現時点では後方視的な解析を行い、長野県における左室駆出率の保持された心不全患者の特徴や、高齢者心不全患者の特徴を明らかにした。左室駆出率の保たれた心不全患者の特徴は①高齢女性、②高血圧と心房細動を有している、③軽度の貧血と中等度の腎機能障害合併、④左室拡張末期容積の低下があげられた。多変量解析で再入院歴と関連があった臨床背景はNYHA分類、心房細動、腎機能であった。 Cure-HFへの登録症例のうち心臓超音波検査実施可能症例が121例で心房細動症例が45例に認められており、非心房細動症例のうち左室駆出率保持された心不全が28症例登録、左室駆出率の低下した心不全は16例を本研究対象とした。今後も症例登録と予後調査を継続する予定である。
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