研究課題
「日本における静脈血栓塞栓症治療における疫学調査」は、静脈血栓塞栓症(VTE)の治療に関する3つの前向き登録研究を中心に展開されつつある。1つめは三重県内の主要施設で発症したVTEを登録し、数年にわたって追跡調査するものである。三重県は三重大学を中心に古くからVTE診療に精通した施設が多く、より詳細な情報が長期間にわたって収集できる。2つめはVTEを専門的に治療している全国の主要な施設で発生したVTEを登録して、1年間の転帰を追跡するものである。これにより日本のVTE治療の現状を明らかにすることができる。3つめは国際登録試験への参加である。日本のいくつかの施設がまとまって国際共同前向き登録試験に参加し、他国との治療内容の相違や予後の違いを検討することができる。それぞれのコホートは徐々に登録症例を増やしており、現時点での傾向としては治療の中心となる抗凝固療法が従来のワルファリンから新規経口抗凝固薬に明らかにシフトしていることである。順調に登録が進めば登録1年後の中間解析が再来年あたりに行われるものと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
症例登録の進み具合が当初の計画よりも遅れている。その理由のひとつとして、参加施設の倫理委員会の通過に時間がかかり、登録開始が遅れた施設があることである。さらに、登録調査においてもインフォームド・コンセントを得る必要があるが、CRCが常駐しない施設が多く、外来診療を行いながら同意説明を行うことが容易ではなくなっている。このため、対象症例を診察したにもかかわらず登録まですすめない場合が少なくない。また、それがモチベーション低下にもつながっている。
まずは、予算的には難しいかも知れないが、CRCの派遣を検討する。次に、ミーティング開催やニュースレターを積極的に発行する。また、実際に登録が落ちている施設には、直接電話したりテレビ電話会議を行ったりして、モチベーションの向上に務める。順調に登録が進めば登録1年後の中間解析が再来年あたりに行われるものと考えられる
患者登録が若干遅れており、これに必要な経費が支出していないため、減額となっている。
患者登録を推進するため、ミーティング開催やニュースレターの発行、さらにはテレビ電話会議を開催する予定であり、本年度の余剰金は来年度に繰り越して使用する。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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