研究課題
遺伝性心筋症(肥大型心筋症(HCM),拡張型心筋症)ではサルコメア蛋白等の原因遺伝子変異,さらにはレニン・アンジオテンシン系等の病態修飾遺伝子多型が,その病態・予後に大きく影響していることを報告してきた.また,2014年度にはSCN10A遺伝子多型(rs6795970)がHCM患者における刺激伝導障害と関連することを報告した.しかし,既知の原因遺伝子変異が同定される確率は約60%であり,病因と予後を解析するうえで,既知または候補遺伝子解析のみでは限界があるため,次世代シーケンサーによるエクソーム解析により,未知の原因遺伝子の発見やそれに伴う新たな病因・病態の解明することが本研究の目的である.当研究ではエクソーム解析を含めた網羅的遺伝子解析法を用いて,遺伝性心筋症をより正確な診断群として分類する予定である.現在,遺伝性心筋症患者のDNAサンプルを収集中である.今年度以降に,illumina社製 次世代シーケンサーMiSeqを用いて,ターゲットリシーケンシングを行う予定である.さらに,原因遺伝子変異が同定できなかった症例にエクソーム解析を施行する.循環動態的に対極に位置するこれらの心筋症において,既知または未知の原因遺伝子変異や各種遺伝子多型との関連を対比的に解析する.ヒトゲノムバリエーションデータベース(http://gwas.lifesciencedb.jp/index.Japanese.html)を利用し,他の疾患との遺伝子多型頻度の差異を評価する.相関が有意となった多型について,その保持数によるリスク層別化が可能かどうかを検討する.新規遺伝子変異の情報をもとに,先制医療にむけた新たな治療標的を探究する予定である.
3: やや遅れている
2014年度は研究代表者が海外長期出張(Harvard Medical School, Brigham and Women's Hospitalで心筋症の病態解明のための共同研究)していたため,日本での遺伝性心筋症患者の収集が遅れた.
遺伝性心筋症患者の収集をすすめ,順次,ターゲットリシーケンスを行い,原因遺伝子変異が同定できなかった症例においてはエクソーム解析を施行する予定である.
研究代表者が海外長期出張(Harvard Medical School, Brigham and Women's Hospitalで遺伝性心筋症の病態解明のための共同研究)していたため,日本での患者のDNAサンプル収集が遅れたため,当初予定していた遺伝子解析ができていないため,使用額の変更が生じた.
本年度は実際に患者での遺伝子解析を予定しており,前年度予定分と合わせて使用させていただく予定である.
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