研究課題
拡張型心筋症は、難治性疾患であり、その原因も多様であり、正確な診断は容易ではない。病理診断の心内膜心筋生検の拡張型心筋症の診断についての有用性と、治療選択への応用の可能性について検討することとした。1.診断についての検討拡張型心筋症と鑑別が必要である場合がある不整脈源性右室心筋症については、心筋のプラコグロビンおよびコネキシン43の発現異常が病態と不整脈の重症度に関連していることを確認した。また、拡張型心筋症の中から、遺伝子診断によりラミン心筋症を3例(3家系)診断できた。そのうち、1家系は新規の遺伝子異常の兄弟例であり不整脈が主体で発症しその後拡張型心筋症に変化していく病態を呈した。さらに、肥大型心筋症例から、Noonan症候群を診断し、拡張相肥大型心筋症に移行する機序として、心筋サルコメアのZ帯の異常という新たな機序を見出した。また、透析で不全心となるいわゆる透析心でも、拡張型心筋症と同様の心筋傷害を呈する可能性示唆された。2.薬物治療抵抗性の拡張型心筋症に対する治療選択についての有用性の検討心臓再同期療法症例での検討では、その治療が有用であった症例はそうでない症例より心筋傷害の程度が軽い傾向がみられ、特に線維症の程度に差がみられた。このことより、心筋生検は、その治療の有用性を予測するのに有用な評価方法の一つである可能性がある。また、左室形成術や僧帽弁形成術症例での検討においても、その有効性は、心筋傷害の程度や原疾患によることが大きく影響していることが推定された。以上より、心筋生検は、拡張型心筋症の診断、病態解明および、治療選択に有用である可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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