研究実績の概要 |
12か月齢のオステオプロテゲリン欠損(OPGKO)、マウスと野生型(WT)マウスを用いて、加齢に伴う心臓形態および心機能評価を行った。OPGKOマウスはWTマウスに比べて収縮期血圧が高く(116±2 vs. 101±1 mmgHg, 平均値±標準偏差, p=0.001)、心重量/体重比が増加していた(8.1±0.64 vs. 4.7±0.11mg/g, p<0.001)。心臓超音波で12か月齢OPGKOマウスはWTマウスに比べ左室拡張期径が拡張し(3.4±0.3 vs. 2.1±0.1 mm, p=0.003)、左室壁は菲薄化(0.8±0.03 vs. 1.0±0.05 mm, p=0.0019)、左室収縮率が低下した(44±3 vs. 64±2%, p<0.0001)。組織学評価では心筋間質の線維化に乏しく(0.08±0.02 vs.0.15±0.03%, p=0.0435)、心筋細胞のTUNEL陽性アポトーシスが亢進した(3.1±1.0 vs. 0.1±0.1/40,000 nuclei, p=0.0256)。さらにOPGKOマウスの左室内ANP、ACE、MMP-2やTRAILの遺伝子発現、ERK)やJNKのリン酸化が亢進した。さらにリコンビナンドOPG製剤(10mg/kg/day)をOPGKOマウスに28日間(隔日)投与すると、骨密度の改善と共に左室径や収縮能が改善した[32±4% (コントロール群) vs. 41±1% (リコンビナントOPG製材投与群), p=0.0374]。OPGは抗アポトーシス効果、線維化促進作用を介して加齢に伴う心臓構築・心機能維持に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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