研究実績の概要 |
冠動脈不安定プラークの破たんに伴う内腔の血栓形成が、心筋梗塞と不安定狭心症を包括した急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)の主たる原因である。ACS患者の約半数は突然発症するため、非侵襲的な方法での心筋梗塞の予知・予防は世界的に重要な課題である。 われわれは冠動脈核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging; MRI)を用いて、非侵襲的に冠動脈内腔、プラーク、および血流情報を得ることに成功している数少ない施設である。われわれのグループはすでにT1強調black blood whole heart MRI (T1-BB WHMRI)という撮像法を用いて、冠動脈壁の高信号を呈するプラーク (hyperintense plaque: HIP)は光干渉断層像での血栓やマクロファージなどの不安定プラークと関連することを報告している (Matsumoto K, Ehara S. JACC Cardiovasc Imaging 2015;8:1143-52)。さらに、狭心症患者の冠動脈責任病変のHIPの有無による経皮的冠動脈インターベンション治療中の末梢保護デバイス挿入後のno-reflow現象と有意な相関を示すことを報告した (Matsumoto K, Ehara S. J Cardiol 2016;67:430-6)。 本年は最終目標であるHIPの心血管イベント予測に関する研究を完結させ、光干渉断層像で血栓と関連しているMRI上のHIPがステント留置後の患者の慢性期の心血管イベントを予測すると報告した(Matsumoto K, Ehara S. JACC Cardiovasc Imaging JACC Cardiovasc Imaging. 2018; doi: 10.1016/j.jcmg.2017.11.033)。
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