研究実績の概要 |
大災害後の長期にわたり急性循環器疾患(急性心筋梗塞、急性心不全)の発症率 の変化を明らかにした研究はない。東日本大地震津波後の3年間にわたり急性心筋梗塞(含む突然死)と急性心不全の発症状況を岩手県の沿岸地区と内陸地区の17市町村で調査した(2009.1-2012.12)。発災前の2009-2010年に比較した2011年と2012年の標準化発症比(SIR)を算出し、津波被害の重度地区と軽度地区の2地域 に分けて検討した。何れの急性循環疾患のSIRは津波重度地区において2011年で高値となり(心筋梗塞; 1.24, 95% CI 1.07 - 1.41: 心不全; 1.73, 95% CI 1.50 - 1.95)、2012年でもまだ発災前に比較して高値が持続していた(心筋梗塞; 1.18, 95%CI 1.01-1.34: 心不全; 1.32, 95%CI 1.12-1.52)。しかし、津波軽度地区においてはこのようなSIRの変動は明らかではなかった。
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