研究実績の概要 |
1.心不全モデルラットの作成:イオンチャネル移入線維芽細胞を移植し、心機能改善を確認するためのin vivoモデルとして心不全ラットモデルを作成した。心不全を誘発する負荷としては、イソプロテレノール皮下投与を用い、1日負荷、2日負荷、ならびに20-150mg/kg/dayの用量を用い、個体の生存率、心機能、心筋組織変化ならびに心室筋の電気生理学的特性を評価した。まず1日負荷では心不全の発症に個体差が大きく、かつ評価できる変化が少なかったため、2日負荷が適切であると判断した。イソプロテレノールの用量としては100mg以上では死亡率が50%を超え、また50mg以下では有意な心筋の変化を認める個体が30%以下であったため、80mg/kg/dayが適当であると判断した。2.心筋に生ずる変化の定量:今回の検討では、心室筋組織の解剖学的変化ならびに電気生理学的特性変化を評価した。上記負荷の後1週間経過観察して個体を評価したが、組織学的には心筋の肥大と一部の変性、間質の増殖を認めた。電気生理学的には、不応期の延長(平均52%)と活動電位持続時間の延長(MAP20で120%、MAP90で56%)を認めた。3.並行する液性因子の評価:上記変化に並行して生ずる液性因子の評価を行った。有意な上昇を認めたのは、CTGF, TGF-beta, MCP-1, IL-2であり、初期の炎症負荷が生じているものと判断された。4.移植のための線維芽細胞の作成:予定している移入チャネルのうち、Kv1.3の発現が不良であり、プラスミドの設計が不適切と考えられた。現在、プラスミドを再設計し、発現効率の良いベクターを検討中である。
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