研究課題
心臓突然死を来す循環器疾患のうちブルガダ症候群および特発性心室細動の患者群について、分子生物学的背景を次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子解析にて探索することを目的として研究を進めている。当大学付属病院を中心とした多施設にて収集されたブルガダ症候群および特発性心室細動の患者および家族に書面にて説明をし同意を得たうえで、末梢血7mlを採取し、リンパ球よりゲノムDNAを抽出した。これまでには候補遺伝子数個の遺伝子をPCRにて増幅後、ダイレクトシークエンスを行っていたが、2013年から次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子解析が可能になった。標的遺伝子は循環器関連遺伝子198遺伝子を含むパネルを当初用いたが、2014年からは4813遺伝子を含む市販パネルにて解析を行っている。ブルガダ症候群の患者群に対し次世代シーケンサーによる遺伝子解析を行ったところ、従来から報告のあるSCN5Aのほかに不整脈原性右心筋症の原因遺伝子であるデスモゾーム関連タンパクの遺伝子変異が複数同定された。そこで共同研究施設と情報共有を行い、さらなる症例集積および遺伝子型-臨床像の検討を開始している。また特発性心室細動症例では孤発例が多く家系例が少ないため、従来報告のあるCaチャネルやKチャネル遺伝子を含めても検出率は低い。このためブルガダ症候群対特発性心室細動症例で、臨床像、遺伝子変異の有無、心電図所見、不整脈の出現頻度などを検討中である。
2: おおむね順調に進展している
2014年度末までに突然死をきたす循環器疾患のDNAサンプル収集は順調で約250人のサンプルが集まっている。そのうち次世代シーケンサーにて遺伝子解析が完了したものは約100症例で、現在までおおむね順調に進展している。
今後さらに50サンプルの解析を終了した時点で、塩基多型、遺伝子変異を含めた解析結果をまとめる。また遺伝子変異の同定された家族性ブルガダ症候群および特発性心室細動症例は同研究室内のiPS細胞チームとの協力において疾患特異的変異iPS細胞を作成し細胞レベルでの表現型の検討を行う。
効率的な調達の結果として残額が生じた。
試薬などの消耗品に充てる予定である。
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