特発性心室細動症候群に対する網羅的遺伝子解析

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26461087
• 研究機関: 慶應義塾大学
• 研究代表者: 相澤 義泰 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (20528145)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 心臓突然死 / 特発性心室細動 / 右脚ブロック / 次世代シークエンサー / 遺伝子解析

研究実績の概要

心臓突然死を来す循環器疾患のうち、器質的には異常を認めないが致死的不整脈を来す疾患群が存在する。代表的なものは先天性QT 延長症候群とブルガダ症候群であるが、未だ明らかにされていない右脚ブロックを呈する突然死症候群患者の分子生物学的背景を次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析にて探索することを目的として研究を行った。
従来はBrugada症候群の症例のDNAサンプルに対し候補遺伝子アプローチにより変異検索を行ってきたが、従来の方法では変異検出率は20%と限界があった。さらに特発性心室細動症例では候補遺伝子の予測が極めて困難であった。そこで変異が同定できない例では次世代シークエンサーを活用し、遺伝子変異の検索を行った。同定された複数の変異につき、心臓に関連するものを検討し、その機能解析と心室細動発生への関与を検討した。特発性心室細動の症例は合計105例集積した。その内右脚ブロックを呈した症例は６例。次世代シークエンサーによりABCC8, CDH2, SCN3B, SCNN1B遺伝子などにrare variantが検出された。
本研究により新規の遺伝子変異と心室細動発生のメカニズムを検討することで、病態解明および個々の遺伝型に対するテーラーメイド医療が実現するものと期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Embryonic type Na+ channel β-subunit, SCN3B masks the disease phenotype of Brugada syndrome. (2016)
  • 著者名/発表者名: Okata S, Yuasa S, Suzuki T, Ito S, Makita N, Yoshida T, Li M, Kurokawa J, Seki T, Egashira T, Aizawa Y, Kodaira M, Motoda C, Yozu G, Shimojima M, Hayashiji N, Hashimoto H, Kuroda Y, Tanaka A, Murata M, Aiba T, Shimizu W, Horie M, Kamiya K, Furukawa T, Fukuda K.
  • 雑誌名: Sci Rep 巻: 6 ページ: 34198
  • DOI: 10.1038/srep34198.
  • 査読あり
• [雑誌論文] A Novel Mechanism of Atrioventricular Block Following Transcatheter Closure of an Atrial Septal Defect. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto T, Kanazawa H, Tanosaki S, Goto S, Kimura M, Tsuruta H, Itabashi Y, Murata M, Kunitomi A, Aizawa Y, Nishiyama T, Kohno T, Maekawa Y, Takatsuki S, Sano M, Igawa O, Fukuda K.
  • 雑誌名: JACC Cardiovasc Interv 巻: 9(19) ページ: 2067-2069
  • DOI: 10.1016/j.jcin.2016.07.028.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Successful catheter ablation of an anteroseptal accessory pathway without impairing the atrioventricular conduction. (2016)
  • 著者名/発表者名: Nishiyama T, Kimura T, Nishiyama N, Aizawa Y, Fukuda K, Takatsuki S.
  • 雑誌名: Int J Cardiol 巻: 222 ページ: 782-4
  • DOI: 10.1016/j.ijcard.2016.08.013.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Report of the American Heart Association (AHA) Scientific Sessions 2015, Orlando. (2016)
  • 著者名/発表者名: Aizawa Y, Kimura M, Kohno T, Fujita J, Fukuda K.
  • 雑誌名: Circ J 巻: 80(1) ページ: 51-7
  • DOI: 0.1007/s00380-016-0866-2.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] 心臓リアノジン受容体遺伝子変異を認めたshort-coupled variant of torsade de pointes の一家系． (2016)
  • 著者名/発表者名: 藤澤大志、相澤義泰、木村舞、中嶋一晶、伊藤章吾、樫村晋、國富晃、勝俣良紀、西山崇比古、木村雄弘、西山信大、福本耕太郎、谷本陽子、湯浅慎介、河野隆志、佐野元昭、高月誠司、福田恵一．
  • 学会等名: 第240回 日本循環器学会関東甲信越地方会
  • 発表場所: ステーションコンファレンス東京（東京都千代田区）
  • 年月日: 2016-06-04
• [学会発表] Yoshiyasu Aizawa, Mitsushige, Murata, Kazuaki Nakajima, Akira Kunitomi, Shin Kashimura, Yoshinori Katsumata, Takahiko Nishiyama, Takehiro Kimura, Nobuhiro Nishiyama, Kotaro Fukumoto, Yoko Tanimoto, Seiji Takatsuki, Keiichi Fukuda. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yoshiyasu Aizawa, Mitsushige, Murata, Kazuaki Nakajima, Akira Kunitomi, Shin Kashimura, Yoshinori Katsumata, Takahiko Nishiyama, Takehiro Kimura, Nobuhiro Nishiyama, Kotaro Fukumoto, Yoko Tanimoto, Seiji Takatsuki, Keiichi Fukuda.
  • 学会等名: Heart Rhythm 2016
  • 発表場所: San Francisco, CA, USA
  • 年月日: 2016-05-05
• [図書] ブルガダ症候群と突然死の関係は? (2016)
  • 著者名/発表者名: 相澤義泰, 福田恵一.
  • 総ページ数: 57-58
  • 出版者: 日本医事新報
• [図書] 慶應循環器内科カンファレンス(第58回) 偽腱索を有する左室起源特発性心室頻拍に対してカテーテルアブレーションを行った一例. (2016)
  • 著者名/発表者名: 相澤義泰.
  • 総ページ数: 116-128
  • 出版者: 月刊レジデント
• [図書] 4あいまいなBrugada波形を浮き立たせる エキスパートはここを見る 心電図読み方の極意． (2016)
  • 著者名/発表者名: 相澤義泰.
  • 総ページ数: 25-35
  • 出版者: 南山堂．
• [図書] 【心電図が臨床につながる本。】(II章)波形からみた心電図 心臓の器質的疾患Plus QRSの異常 QRS幅の延長. (2016)
  • 著者名/発表者名: 相澤義泰, 倉田奈緒美.
  • 総ページ数: 1173-1178
  • 出版者: 臨床検査