研究実績の概要 |
本年度は手術中に切除された心房筋(左心耳)および脂肪を解析し、これらの組織に含まれるミトコンドリアの動向と病態がどのように関連するかを検討した。それぞれについて非糖尿病(DM-)と糖尿病(DM+)患者を比較した。患者背景においてはDM +で術前のエコーデータにおける左室駆出率(LVEF)が有意に低く(DM-=62.6%、DM+=51.7%)、術前NYHAが有意に高かった(DM-=1.53、DM+=1.79)。左心耳に含まれるミトコンドリア関連遺伝子は、DM+で有意にもしくは高い傾向が認められた(NRF-1: 2.88 vs 5.44, PGC1α: 5.2 vs 7.4, Tfam1:1.65 vs 3.68 ND6: 88.9 vs 105.6, NDUFB8: 24.0 vs 27.5, DM- vs. DM+) さらにアポトーシス関連因子であるCASP9はDM+で有意に高く、さらに炎症性サイトカインのうちTNFα、IL-1βもDM+で有意に高値であった。IL-6の発現に差は認めなかった。次に心臓周囲脂肪に含まれるミトコンドリア関連遺伝子を解析した。すると左心耳心筋同様、DM+で有意にもしくは高い傾向が認められた(PGC1α: 2.16 vs 2.37, ND6: 27.7 vs 62.7, NDUFB8: 65.3 vs. 96.9)。一方で NRF-1のみDM-で高かった(NRF1 = 5.7 vs. 1.7: DM- vs. DM+)
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