研究実績の概要 |
背景と目的:ヨウ素123メタ・ヨードベンジルグアニジン(123I-MIBG)検査は心臓交感神経支配の検出に有用であり、致死性不整脈と密接に関連している。しかしながらこのような画像化は、典型的には最も高い取り込みの領域をリファレンスとするため、神経過増生を描出することは困難である。今回、除神経心におけるMIBG uptake正常領域には神経再生が存在し、不整脈形成の可能性と相関すると仮定した。 方法: 健常なNew Zealand White rabbitを用い (n=20, 雄)、フェノール塗布による除神経モデルを作成した。対照は生理的食塩水塗布によるシャムオペモデルとした。術後4週の時点で シャム・フェノールモデルにおいて鏡面心筋病理切片を用いたオートラジオグラフィーおよび免疫染色(GAP43, TH)を用いて定量し、電気生理学的研究を行った。 結果: 除神経モデルにおいて (1) MIBG取り込み率の局所ばらつきは、MIBG低下領域内よりも正常領域との境界領域で最大となった。(2) 免疫染色において、MIBG低下領域に一致したGAP43シグナルの低下と不均一な発現が認められ、いっぽうMIBG取り込みが正常な領域ではGAP43の亢進が認められた。THシグナルは MIBG正常領域の一部で亢進が見られた。(3) 電気生理学的検査では、ノルエピネフリン投与による交感神経刺激によってフェノール塗布領域におけるARI-dispersionが増大した。星状神経節刺激はフェノール塗布領域・非塗布領域いずれにおいてもARI-dispersionを増大させ、心室頻拍および心室細動の易誘発性と関連していた。 結語: 除神経が存在する心筋では、MIBGとりこみ正常領域においても過増生が存在した。すなわち異質な神経リモデリングがMIBGで一見正常な非除神経領域まで広がり、電気的不安定性に寄与する可能性を示唆した。
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