研究実績の概要 |
平成27年度は、前年度より登録したTCM患者のうち、研究参加に同意を得られた6名と健常人2名に対して自律神経機能検査、ストレステストとカテコラミン遺伝子の解析を行った。健常人と採血可能だったTCM患者においてストレステスト前後の血漿カテコラミンの比較では、ストレステスト前後における血漿ノルアドレナリン濃度差がTCM群において高い傾向を認めた (185.5±85.5 pg/ml vs 106.0±28.3 pg/ml)。また、同じく血漿アルドステロン濃度の差ではTCM群の方が低い傾向を認めた (12.6±12 pg/ml vs 43.4±6.5 pg/ml)。 また同時に、TCM患者のカテコラミン遺伝子をイルミナMiSeqを使うことで網羅的解析を行った。カテコラミン関連遺伝子のうち15遺伝子(ADRA1A, ADRA1B, ADRA1D, ADRA2A, ADRA2B, ADRA2C, ADRB1, ADRB2, ADRB3, DRD1, DRD2, DRD3, DRD4, DRD5, GNAI1)についてハイスループットシーケンサーを用い、ターゲットリシーケンス解析を行った。対象遺伝子の全エキソン約70kbpについてマルチプレックスPCRにより目的領域を増幅し、KAPA HyperPlus Kit (KAPA Biosystems)を用いてライブラリー調製をした。合計13サンプルについてDNAライブラリーを調製し、MiSeq Reagent Kit Nano v2 300cycle (Illumina)を用いて、150bpのペアードエンドシーケンシングを施行した。その結果、約59万リードの塩基配列が得られた。各サンプルにおいては、平均4.5万リード得られ、そのうちターゲット領域に平均86.4%マップされ、リードカバレッジは平均x114.6、ターゲットカバー率は平均99.6%だった。このマッピングデータをもとに変異解析したところ、全体で354個のSNVs(single nucleotide variations)が検出された。そのうちアミノ酸置換を伴う変異は59個あり、DRD3遺伝子における自閉症に関連する変異(rs6280)が13サンプル中 12サンプルで検出された。
|