研究実績の概要 |
たこつぼ心筋症(TCM)は、心筋梗塞様の胸痛と心電図変化、左心室心尖部を中心とする収縮低下をきたす疾患である。その発生機序は未だ不明であるが、交感神経亢進によるものが最も有力である。今回我々はTCM患者において、ストレス下のカテコラミンと自律神経反応について検討を行った。 TCM患者8名と健常人3名に対して自律神経機能検査(AFT)、精神的ストレス負荷時(暗算負荷、スピーチテスト)における血漿カテコラミン値を測定した。 TCM患者は健常人に比べ洞性不整脈比が有意に低く, Valsalva比も有意な低下がみられた。 ストレス負荷テストの前後において血圧、脈拍の変化は両者に有意差は認めなかったが、TCM患者は血漿ノルアドレナリン値、アドレナリン値とアルドステロン濃度上昇が健常者と比して有意に高値であった。以上より、TCM患者は精神的ストレス下での交感神経・副腎系の反応が強い可能性が示唆された。 TCM患者のカテコラミン関連遺伝子のうち15遺伝子(ADRA1A, ADRA1B, ADRA1D, ADRA2A, ADRA2B, ADRA2C, ADRB1, ADRB2, ADRB3, DRD1, DRD2, DRD3, DRD4, DRD5, GNAI1)についてハイスループットシーケンサーを用い、ターゲットリシーケンス解析にて遺伝子変異解析を行った。全体で5名のTCM患者において354個のSNVs(single nucleotide variations)が検出された。特に変異が多く認められたものはADRA1A, ADRA2B, ADRB1, DRD2, DRD4であった。そのうちアミノ酸置換を伴う変異は59個あった。引き続き患者サンプルを追加して、さらなる詳細な解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2017年5月までに当初予定されていた被験者による検査が終了予定である。 自律神経機能検査、ストレス負荷試験前後の血漿カテコラミン濃度、レニン・アルドステロン濃度を健常群と患者群で比較検討を行う。 また、α2B-AR、Β2-AR遺伝子の全エクソン領域でシークエンスを行い、α2B-AR遺伝子内にみられるグルタミン酸Glu(E:p.Glu301-303)リピート数にGlu12/12ホモ型 、Glu9/9ホモ型、Glu9/12ヘテロ型の3つのタイプと、Β2-AR遺伝子におけるArg16Gly, Gln27Glu, Thr164Ileの3つをターゲットにの遺伝子変異の検索を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年5月までに当初予定されていた被験者による検査が終了予定である。自律神経機能検査、ストレス負荷試験前後の血漿カテコラミン濃度、レニン・アルドステロン濃度を健常群と患者群で比較検討を行う。また、α2B-AR、Β2-AR遺伝子の全エクソン領域でシークエンスを行い、α2B-AR遺伝子内にみられるグルタミン酸Glu(E:p.Glu301-303)リピート数にGlu12/12ホモ型 、Glu9/9ホモ型、Glu9/12ヘテロ型の3つのタイプと、Β2-AR遺伝子におけるArg16Gly, Gln27Glu, Thr164Ileの3つをターゲットにの遺伝子変異の検索を予定している。
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