研究課題
心臓ペースメーカや植込み型除細動器など心臓植込み型デバイスの埋込み症例は、大災害などのストレスにより心不全や心肺停止などに陥る可能性が高い。心臓植込み型デバイスには心拍数や呼吸数などの生体信号やデバイスの状況などのデータが残されており、遠隔モニタリングを介してダウンロードすることにより発災前後の詳細を検討することができる。申請者らは、サンプリングエントロピーを心拍変動に応用することにより、新たな予後指標を開発した(PLoS One 2015; 10: e 0137144)。また、最終年度には、中枢性無呼吸症例を対象として、新たな低酸素予後指標を開発した(J Card Fail 2017; 23: 131)。当院と被災地の症例の発災前後の不整脈発生状況、心拍呼吸解析、および転帰などとの関連調査を行うことにより、既報通り発災後約3週間は心拍変動の減少と不整脈の発生危険度が高いことが示唆された。これらの結果をふまえて、災害時派遣医療チーム(DMAT)らには、避難所に避難してきた心臓植込み型デバイス症例においては、デバイス内の生体信号データ確認を行うことにより、心不全や不整脈の状態が容易に把握できることを喚起するとともに、これに基づく適切な処置を行うよう提案する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
J Card Fail
巻: 23 ページ: 131-137
10.1016/j.cardfail.2016.09.004