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2015 年度 実施状況報告書

心臓ナトリウム利尿ペプチドを用いた新しい周産期心筋症治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26461100
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

大谷 健太郎  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (50470191)

研究分担者 徳留 健  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00443474)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードナトリウム利尿ペプチド / 心肥大 / 周産期心筋症 / 授乳
研究実績の概要

これまでの我々の検討で、心臓ホルモンであるナトリウム利尿ペプチドANP・BNPの共通の受容体であるGC-Aの遺伝子欠損マウス(GC-A-KO)が、授乳期に心機能低下を伴う顕著な心肥大・心線維化を呈することから、内因性ANP・BNP/GC-A系が授乳期に心保護的に作用していることが明らかとなった。従来、ナトリウム利尿ペプチド系はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系と拮抗関係にある事が知られている。本年度は、GC-A-KOにおける授乳期心肥大へのアルドステロンの関与を明らかにするため、アルドステロンの受容体であるミネラロコルチコイド受容体(MR)の遺伝子欠損マウスを用い、授乳期の心臓の形態学的変化を比較検討した。MR遺伝子の完全欠損マウスは胎生致死となるため、本研究ではCre-loxPシステムを用いて作製した、心筋・血管内皮・腎臓・神経細胞におけるMR欠損マウスにて比較検討を行った。まず初めに、授乳期の血中アルドステロン濃度を測定したところ、野生型マウスに比し、GC-A-KOでは授乳により血中アルドステロン濃度が有意に上昇していたことから、授乳期心肥大へのアルドステロンの関与が示唆された。次に、MR遺伝子の細動特異的欠損マウスの授乳期心肥大を比較検討したところ、神経細胞にてMR遺伝子を欠損させたマウスでのみ、授乳期の心肥大が有意に抑制されており、授乳期心肥大への神経におけるアルドステロン/MR系の関与が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究目標に記載していた、細胞特異的ミネラロコルチコイド受容体(MR)遺伝子欠損マウスを用い、授乳期心肥大への神経細胞におけるアルドステロン/MR系の関与を明らかにできたため。

今後の研究の推進方策

今後は、GC-A-KOにおける授乳期心肥大の原因因子がアルドステロンであることの裏付けとして、授乳期に選択的アルドステロン阻害剤を投与することで、GC-A-KOの授乳期心肥大が抑制されるか否かについて検討を行う。併せて、将来的にナトリウム利尿ペプチド系が周産期心筋症の治療標的となり得るかを検証するため、国立循環器病研究センター周産期・婦人科と共同で、周産期心筋症患者ゲノムにおけるナトリウム利尿ペプチド関連遺伝子の多型性解析を実施する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Importance of endogenous atrial and brain natriuretic peptides in murine embryonic vascular and organ development.2016

    • 著者名/発表者名
      Tokudome T, Kishimoto I, Shindo T, Kawakami H, Koyama T, Otani K, Nishimura H, Miyazato M, Kohno M, Nakao K, Kangawa K.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 157 ページ: 358-367

    • DOI

      10.1210/en.2015-1344

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Atrial natriuretic peptide prevents cancer metastasis through vascular endothelial cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Nojiri T, Hosoda H, Tokudome T, Miura K, Ishikane S, Otani K, Kishimoto I, Shintani Y, Inoue M, Kimura T, Sawabata N, Minami M, Nakagiri T, Funaki S, Takeuchi Y, Maeda H, Kidoya H, Kiyonari H, Shioi G, Arai Y, Hasegawa T, Takakura N, Hori M, Ohno Y, Miyazato M, Mochizuki N, Okumura M, Kangawa K.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA

      巻: 112 ページ: 4086-4091

    • DOI

      10.1073/pnas.1417273112

    • 査読あり
  • [学会発表] 心臓ナトリウム利尿ペプチドシグナルの欠損は授乳期に産褥心筋症を惹起する2015

    • 著者名/発表者名
      大谷健太郎、徳留健、岸本一郎、西村博仁、寒川賢治
    • 学会等名
      第51回 高血圧関連疾患モデル学会学術総会
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-31
  • [学会発表] 授乳はアルドステロン/ミネラロコルチコイド系を活性化し心臓リモデリングを来す2015

    • 著者名/発表者名
      大谷健太郎、徳留健、岸本一郎、池田智明、中尾一和、寒川賢治
    • 学会等名
      第88回 日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ東京
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-25

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公開日: 2017-01-06  

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