研究課題
本研究の目的は、血管内視鏡検査の所見評価について一定のコンセンサスを得て、今後の臨床研究のための基準となる評価法を提唱し、それと同時に、その評価表に基づいて血管内視鏡検査に関する多施設での登録研究システムを構築し、新しいステント治療後の血管内視鏡所見からみた抗血小板薬など治療の最適化のための適切な治療戦略を提言することである。本研究グループの構成員はH18年より症例検討を中心とする血管内視鏡の研究会を年2 回、定期的に開催しており、この既存の研究者ネットワークを利用している。H26年度は、定例の研究会に合わせて本研究班会議を平成26年7月12日(土曜日)と平成27年2月14日(土曜日)に開催し、以下の事項を確認した。第1回班会議:従来、血管内視鏡検査ではプラークの性状を正常な白色と2 段階から3 段階の黄色に分類し、血栓は色調から赤色と白色、ステントの被覆も半定量的に3 から5 段階に分類されてきたが、その定義はあいまいで施設毎・報告者毎に一定していなかったが、過去の報告等を精査・検討し、以下の方法に統一した。ステント被覆4段階に分類し、最大被覆度・最小被覆度・主要被覆度を記載する。血栓は白色、赤色、混合血栓の3種類とし、付着部位をステントのストラット部とストラット間に分類する。プラーク色調4段階に分類し、最大色調度を記載する。以上の方法に従い、調査票を作成した。前向き・後向き症例の登録を開始することとした。第2回班会議:前向き検討ではF/U時49件(うちステント血栓症3例)の症例が登録された。後向き検討ではF/U時370例(BMS 54例、 DES 316例:うちステント血栓症20例)の症例が登録された。H27年度中に後向き症例のデータを解析し、学会報告・論文化を目指すことを確認した。
2: おおむね順調に進展している
初年度(H26年度)の目標であった、血管内視鏡所見の標準となる評価法の提言について、評価法を策定し、前向き・後向き登録のための調査票を作成し、症例の登録を開始することができた。
後向きに登録された症例情報をデータベース化する。そのデータをもとに、ステント留置後の血管内視鏡所見について解析を行う。前向き症例の登録を継続し、順次その情報のデータベース化を進める。さらに最終年度に向けて前向き・後向きに登録された症例の追跡調査を行う。
年度途中に研究機関の異動もあり、当初の予定の助成金を使用することができなかった。
症例情報のデータベース化、追跡調査、解析を行うので、そのための諸費用として使用する予定である。
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Angioscopy
巻: 1 ページ: 32-34
10.15791/angioscopy.cr.15.0003