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2016 年度 実績報告書

がん患者に対する血管新生阻害薬による心毒性の評価および分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461102
研究機関地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所)

研究代表者

塩山 渉  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 副部長 (50650454)

研究分担者 中岡 良和  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (90393214)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード腫瘍循環器 / 血管新生阻害薬 / 心毒性 / 高血圧症 / 蛋白尿
研究実績の概要

本研究の目的は、がん症例に対して投与される血管新生阻害薬により生じる心血管系副作用(心毒性)について、その早期指標と分子機構を解明することである。研究代表者らは、2009年から2011年に血管新生阻害薬ベバシズマブ(Bev)を投与されたがん患者197名(平均年齢63±11歳、大腸がん116名、肺がん68名、乳がん13名)における心毒性(高血圧、蛋白尿)の発現について後方視的観察を行い、高血圧を76名(38.6%)、蛋白尿を82名(41.6%)に認め、高血圧を発症した症例のうち46名はBev投与3ヶ月以内、さらに1週間以内に血圧上昇が14名に認められることを明らかにした。血圧上昇例では、Bevの平均投与回数20.0±15.1回、総量10,491±8,768mgと血圧非上昇例に比べて、Bev投与期間、投与総量が有意に上回っていた。
そこで、Bevによる心毒性の早期指標および分子機序を明らかにするため内皮細胞の増殖・成熟に関与する増殖因子(VEGF、HGF、FGF-23)に着目し、Bev投与がん患者(7名)におけるBev投与前後の血清における変化を解析した。Bev投与前と投与1週間後で比較したHGFおよびFGF-23の濃度は有意な変化を認めなかったが、VEGFは投与前 23.7±5.2 pg/mlから投与後 46.4±10.2 pg/ml (p<0.001)に有意な上昇を認めた。一方、今回の解析から除外した症例の中で、投与前にVEGFが高値(650 pg/ml)を示し、Bev投与1週間後に66 pg/mlに低下した症例があり、Bev投与直後に一過性の高血圧を示しており、興味深い症例もあった。これらの結果はBev投与前後で血清VEGFがダイナミックに変動していることを示しており、心毒性発症の早期指標、分子機序として今後さらなる検討が必要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 抗がん剤における長期的な心毒性への対応 がんサバイバーを中心に2017

    • 著者名/発表者名
      塩山 渉、向井幹夫
    • 雑誌名

      日本医事新報

      巻: 4845 ページ: 45-50

  • [雑誌論文] がんサバイバーの心血管リスク2016

    • 著者名/発表者名
      塩山 渉
    • 雑誌名

      Cardiac Practice

      巻: 27 ページ: 129-134

  • [雑誌論文] 高血圧,蛋白尿,虚血性心疾患:血管新生阻害薬による心毒性2016

    • 著者名/発表者名
      塩山 渉
    • 雑誌名

      呼吸と循環

      巻: 64 ページ: 859-865

  • [雑誌論文] 担がん患者における抗凝固療法 シングルドラッグアプローチの検討2016

    • 著者名/発表者名
      向井幹夫,塩山 渉,黒田 忠,岡 亨
    • 雑誌名

      Progress in Medicine

      巻: 36 ページ: 1579-1591

  • [学会発表] がん患者に発症した静脈血栓塞栓症に対する直接作用型経口抗凝固薬リバーロキサバンの効果2017

    • 著者名/発表者名
      向井幹夫、塩山 渉、黒田 忠、岡 亨
    • 学会等名
      第114回日本内科学会総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2017-04-14 – 2017-04-16
  • [学会発表] 担がん患者に発症した静脈血栓塞栓症に対するリバーロキサバンの使用経験2017

    • 著者名/発表者名
      向井幹夫、塩山 渉、黒田 忠、岡 亨、淡田修久、堀 正二
    • 学会等名
      第51回日本成人病(生活習慣病)学会
    • 発表場所
      都市センターホテル
    • 年月日
      2017-01-14 – 2017-01-15
  • [学会発表] 重要性を増すCardio-oncology がん治療の進歩とOnco-Cardiology(腫瘍循環器学)2016

    • 著者名/発表者名
      向井幹夫、塩山 渉、黒田 忠、岡 亨
    • 学会等名
      第64回日本心臓病学会学術集会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-25
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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