研究課題
脳神経システムと血管機能との連関を中心にした検討のうち、本年は重症の心不全患者に焦点をあてて、心臓リハビリテーションを通じて精神状態及び血管機能がどのように相互に関係し、結果として心不全に影響を与えるか評価を行った。重症の心不全罹患者は精神状態の低下を合併することが多く、その精神状態の低下がさらに心不全状態を悪化させることが知られている。慢性の機能障害時に合併することの多い筋量低下(サルコペニア)に関しても、精神状態、血管機能に負の影響があるが、今回高強度インターバルの有酸素トレーニングを行うことで心不全患者の筋力回復が得られることを解明した。これは精神状態、血管機能につながることが期待されるものであり、今後この筋力回復との関連の検討に役立つものと思われる。また重症心不全の栄養状態の改善により血管機能及び精神状態の介入ができないか、アミノ酸製剤に着目して、プロトコール作成を行った。本検討に関しても栄養と血管機能、栄養と脳神経システム、これらを総合して血管機能と脳神経システムの関連を検討することに役立つことが期待できる。心臓リハビリテーションにおいても臨床心理士との多職種カンファレンスを通じ、心不全患者に対するアプローチの相互見直し、修正、改良の試みをはじめた。結果的に心臓リハビリテーションのアドヒアランスの向上につながり、心不全状態及び血管機能への効果をより高める結果を導き出すことができた。また心不全患者において呼吸筋疲労の検討を行うと、呼吸筋疲労が運動耐容能の低下と関連し、一方でこれは換気応答や腎機能との関連がみられた。換気応答は脳神経システムに関連のあるものであり、呼吸筋疲労を通じて、血管機能、運動耐容能、神経システム、筋組織との関連について知見が得られた。
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