研究課題
昨年度に引き続き、デノスマブによる冠動脈石灰化抑制効果を探索的臨床試験で評価した。骨粗鬆症を合併し冠動脈病変が疑われる女性患者に対し、冠動脈CTを施行し冠動脈石灰化スコアを評価した。デノスマブ皮下注6-12ヵ月後に冠動脈CTで石灰化スコアの進行抑制効果を評価した。また、血管機能評価、老化マーカーの測定も行い、デノスマブによる多面的効果の有無を評価した。これまでに骨粗鬆症を合併した冠動脈疾患患者12症例に対してデノスマブ投与を行い、うち10例において評価可能であった。デノスマブ投与により骨密度は0.662±0.11 g/cm2 から0.679±0.12 g/cm2まで改善した。主要評価項目である 冠動脈石灰化(CAC)スコアは366.5±438.0から362.9±435.1まで低下、CACスコア改善率は1.8%と有意差はつかないものの改善傾向がみられており、石灰化進展抑制のみならず、石灰化を改善する可能性があるという驚くべき結果が得られた。さらに骨密度改善度とCAC改善率には相関関係があり、本薬剤が骨粗鬆症に有効であれば、冠動脈石灰化に対しても抑制効果を示す可能性が示唆された。副次評価項目として心血管事故(心臓死、非致死的心筋梗塞、血行再建術の施行、脳卒中)の出現はなく、冠動脈疾患患者に対するデノスマブ投与の安全性に問題はなかった。また引き続き並行してデノスマブ投与患者の血球中のRNAを抽出し、老化マーカー、血管炎症マーカーなどの測定を開始している。
すべて 2017 2016
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)