研究課題
本研究では、名古屋大学の関連施設にて診断・治療を行っている肺動脈性肺高血圧症(ダナポイント分類1群)の予後予測因子の調査を行い、診断時の心嚢水貯留・平均右房圧が10mmHg以上、CIが2.5L/min/m2が予後不良因子であることを明らかにした。さらに、ダナポイント分類2群の肺高血圧症では、平均肺動脈圧が25mmHg以上と左室収縮末期容積係数が死亡と関連していることを明らかにした。なかでも2群肺高血圧症のうち、特に拡張型心筋症による肺高血圧症患者では、非肺高血圧症患者にくらべ、有意に死亡が多いことが判明した(ハザード比 11.8、p<0.0001))。心肺運動負荷試験(CPX)は、肺高血圧症患者の運動耐容能や肺血管床の破壊の程度を推測する有用な手段である。運動耐容能ならびに予後予測因子であるpeakVO2は、肺動脈性肺高血圧症(1群)ではエンドセリン受容体拮抗薬内服治療にて改善が認められる一方、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(4群)では改善しないことを見出した。一方、呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)は、肺高血圧症患者では残存肺血管床減少度の指標であり、肺動脈性肺高血圧症(1群)ではエンドセリン受容体拮抗薬では改善せず、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(4群)では改善することを見出した。さらに、ある種の肺高血圧症では、血管増殖抑制因子である血清VEGF165b濃度が上昇することを見出した。現在、血清VEGF165b濃度と平均肺動脈圧・肺血管抵抗・心係数との関係やCPXで得られるパラメーターとの関連を検討中である。
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