研究課題
EGFP-PDLIM5 WT、EGFP-PDLIM5 A mutant(AMPK活性化によってもPDLIM5 がリン酸化されない)、EGFP-PDLIM5 D mutant(AMPK によるリン酸化状態を疑似したPDLIM5)を作成して、細胞遊走におけるAMPK によるPDLIM5 リン酸化の役割をScratch assayとFree cell migration assayで観察したところ、AMPK賦活剤を投与しない条件下でもD mutant細胞のみが細胞遊走能が抑制されることが解った。次に細胞の形態を観察したところ、WT細胞では典型的なlamellipodia構造が認められるのに対し、D mutant細胞ではlamellipoidaは認められず、ストレス線維が増強していた。この形態変化がAMPKの賦活化に起因するものかを確かめるため、WTとA mutant細胞に対してAMPK賦活剤を投与して観察したところ、WT細胞ではAMPK刺激後、lamellipodiaの構造が消失し、細胞末梢からストレス線維の伸長増強が認められたが、A mutant細胞ではこの変化が認められなかった。以上より、lamellipodiaの消失やストレス線維の増強はAMPKによるPdlim5のリン酸化の関与が考えられた。さらにAMPK賦活化によりPdlim5がAMPKによりリン酸化されると、Rac1の活性化分子Rac1GEF(Arhgef6)がRac1から解離してRac1の活性が阻害されることでlamellipodia形成が阻害され、細胞遊走が抑制されることが解明された。以上より、AMPK活性低下はCLIP170を脱リン酸化による微小管伸長阻害により細胞遊走を抑制し、一方AMPK活性の賦活化は、p64のリン酸化による細胞末梢のアクチン構造の変化によって細胞遊走を阻害することが解明された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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