研究実績の概要 |
1,心膜脂肪量過多が冠動脈粥状硬化進展との関連について,冠動脈CT血管造影受検者における検討を行った。その結果,腹部内臓肥満のない者,メタボリック症候群を呈さない者,非肥満者において心膜脂肪過多者において冠動脈プラーク形成を多く認め,心膜脂肪過多が冠動脈粥状硬化進展因子として考えられた。 2,722例の長期追跡成績を元に肥満度と心膜脂肪量について総死亡と心イベント(心臓死+非致死性急性冠症候群発生)の関係を検討した。総死亡,心イベントともにBMIの第一四分位(<21.5kg/m2)において高率であった。一方,心膜脂肪量とは両者ともに正の関係を認めたが有意差は認めなかった。次に非肥満者(21.5kg/m2)かつ心膜脂肪過多(≧107mL,中間値)においては,そうでなでい群に比べ心血管イベントが有意に高値であったが,総死亡に対しては有意ではなかった。以上から,やせ型の心膜脂肪過多者は心イベント発症に強い関連を認めたが,一方で総死亡との関連は明らかでなかった。 3,開心術施行患者から採取した冠動脈周囲の脂肪組織を用いて免疫組織化学的検討を行っている。血管新生の指標として血管内皮表面マーカー(CD-31),炎症の指標としてマクロファージの表面マーカー(CD-68)による染色を行い,冠動脈バイパス手術例,弁膜症例による比較検討,冠動脈CTによるカルシウムスコア別,非石灰化プラーク有無別での比較検討を行っている。IgG4抗体をはじめ他のリンパ球表面マーカーに対する検討は行えてない。 4,冠動脈CTを施行した患者に対して血液採血を行いリンパ球表面マーカーの探索および血中アディポサイトカイン,炎症性サイトカインの測定を行う。本研究計画は学内倫理委員会で承認された。
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