研究課題/領域番号 |
26461112
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
檜垣 實男 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70189744)
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研究分担者 |
大蔵 隆文 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40260385)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オステオポンチン |
研究実績の概要 |
細胞外マトリックス蛋白であるオステオポンチン(OPN)は血管内皮細胞やマクロファージなど様々な細胞から分泌され、炎症や組織の線維化を誘導する。OPNは血中および組織においてトロンビンによって切断され、トロンビン切断型(tr)OPNに変換される。トロンビンは、各種血栓症で血中および組織で活性化される。したがって血栓形成により活性化されたトロンビンによってOPNが切断され、trOPNが生成される。これまでの申請者らは、アテローム血栓性脳梗塞患者の急性期においてtrOPNが上昇することを明らかにした。そこで本研究では各種血栓症において血漿trOPN濃度の測定を行い、血栓症の早期診断、治療経過、予後予測のマーカーとして有用性を検討した。正常コントロール者50名、血栓性疾患患者50名および血栓症のリスクの高いネフローゼ症候群患者50名を対象として、血中切断型OPNの測定を行ったが、正常コントロールと比較して、やや上昇傾向はあるものの有意な上昇は認めなかった。現在は、急性冠症候群の患者を対象として、来院時、経皮的冠動脈形成術前後、退院時の血漿trOPN濃度の測定を行い、急性冠動脈症候群患者の予後と血漿trOPN濃度との関連を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血栓形成性疾患を対象に症例を集めているが、血栓性疾患患者は重症例が多く、当院に搬送前に既に抗血小板薬や抗凝固薬が投与されている例が多く、症例が十分確保できていない。このため、血栓性疾患に加えて、血栓形成のリスクが高いネフローゼ症候群患者を対象として、trOPN濃度の測定を行ったが、その上昇は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これらの結果を踏まえて、当科に搬送された急性冠症候群の患者を対象として、来院時、経皮的冠動脈形成術前後、退院時の血漿trOPN濃度の測定を行い、急性冠動脈症候群患者の狭窄病変の重症度、さらに心機能と血漿trOPN濃度との関連を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた症例数が不足したため、次期繰り越しが生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、急性冠症候群患者にも対象を広げて血漿trOPN濃度の測定を行い、その有用性を検討し、残りの一年でその成果をまとめる予定である。
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