研究課題/領域番号 |
26461113
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
池田 聡司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10336159)
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研究分担者 |
浦田 芳重 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (30185087)
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
一昨年度からの研究では、VEGF受容体拮抗薬/低酸素飼育による肺高血圧ラットを用いて、peroxisome proliferation-activated receptor γ coactivator-1α (PGC-1α)について解析を行ってきた。長期飼育(10週間)のモデルでは、PGC-1αの蛋白、mRNAレベルでの発現に差異を認めず、短期飼育(3週間)にても検討したが、有意な発現の差異は認められなかった。そのため、昨年度、PGC-1αの肺高血圧症の発症・進展の機序に関与が低いと考えられたと報告した。その後、再解析を行ったところ、3週間飼育モデルにて、PGC-1αの蛋白発現の増加している傾向が見られた。PGC-1αのImmunoblotでは、2つのバンドが検出されたが、特に高分子量のバンドの発現に差異が大きい傾向であった。この結果に関し、さらなる検討を行うことも考慮している。 本研究では、PGC-1α以外の酸化ストレスマーカーとして、グルタチオン化蛋白を候補として挙げており、現在、その解析に取り組んでいる。ヒト肺動脈平滑筋細胞を用いて、低酸素刺激(1%酸素濃度)や肺高血圧発症の機序に関与するplatelet derived growth factor (PDGF)刺激を行い、グルタチオン化蛋白の検討を行ったところ、低酸素刺激4時間後よりグルタチオン化蛋白の発現の増加がみられた。本抗体を用いたImmunoblotでは、複数のバンドが検出されたが、この理由として複数の蛋白がグルタチオンにより修飾されていた可能性がある。そこで蛋白の探索を、発現の差異が大きい分子量に相当する蛋白に注目し、検討を行っている。今までにAkt、ERK、AMPK系に関して検討したが、低酸素による有意な増加は認めなかった。現在は、転写因子のNF-κBを制御するIκBに注目し、検討している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酸化ストレスマーカーの候補として、当初、解析したPGC-1αは仮説通りの結果が得られなかったこと、低酸素飼育用のチャンバーの不備にてチャンバーの交換が必要となったこと、また実験に従事していた大学院生の転勤などがあり、研究の進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
PGC-1αに関しては、当初、肺高血圧症モデルにて、正常群と比較して有意な差異が得られなかったが、研究の実績の項でも述べたように、再解析にて低酸素飼育による発現の差異がみられたこともあり、今後、後述のグルタチオン化蛋白の解析とともに、さらなる検討を加えることを考慮している。 グルタチオン化蛋白に関しては、現在、グルタチオン修飾をうける蛋白を探索しており、その蛋白の同定、その機序の解析を今後、行っていく予定としている。
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