研究課題
本年度も、昨年度に引き続き、基礎研究を実施した。今までに、VEGF受容体拮抗薬/低酸素飼育による肺高血圧症ラットを用いて、peroxisome proliferation-activated receptor γ coactivator-1α (PGC-1α)の蛋白、mRNAレベルの発現を長期飼育(10週間)、短期飼育(3週間)にて検討してきたが、有意な差は得られなかった。また昨年度、その後の再解析にて、3週間飼育モデルにて、PGC-1αの蛋白発現が増加している傾向が見られ、特にImmunoblotにて2つのバンドの高分子量の発現に差異が大きい傾向であり、さらなる検討を行うことも考慮していると報告したが、追加解析の結果ではやはり有意な差異は得られなかった。PGC-1αは発現量も少なく、その差異を検出し、肺高血圧症の診断に用いるのは難しいと考えられた。他の酸化ストレスマーカーであるグルタチオン化蛋白の解析では、上記の肺高血圧症ラットにて、蛋白発現をImmunoblotや免疫染色で検討した。我々が作成したグルタチオン化蛋白の抗体を用いたImmunoblotでは、複数のバンドが検出され、肺高血圧症モデルと正常ラットでの有意な差異は見られず、また免疫染色でも、気管支上皮細胞での発現が強く、肺動脈ではその発現が弱く、肺高血圧症モデルと正常群での有意な差異は見られなかった。ラットのみでなく、低酸素飼育によるマウスモデルでも検討を行ったが、有意な差異は認められなかった。グルタチオンはユビキタスなペプチドで、様々な蛋白を修飾すると考えられ、また可逆性のあるグルタチオニル化による変化などもあり、本研究の結果からは、肺高血圧症の診断に用いるのは困難であると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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