研究課題
①変異型Phospholipase C(PLC)を血管平滑筋に過剰発現させたtransgenic mouse(PLC-TG)を用いて、経静脈的エルゴノビン(50mg/kg)投与により誘発された冠攣縮が、カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム60 mg/kg/日、経口投与14日間)により抑制されるかどうかを、体表面心電図による心電図変化(心拍数やST-T変化、房室ブロック)により検討した。さらにカルシウム拮抗薬による降圧の影響を除外するため、他の降圧薬(利尿薬トリクロルメチアジド1 mg/kg/日、経口投与14日間)を用いて同様の実験を行った。その結果ジルチアゼム投与では冠攣縮が抑制されたが、トリクロルメチアジドでは抑制されなかった。またこの結果は降圧効果とは無関係であった。②PLC活性を亢進させる物質であるp122蛋白を血管平滑筋に過剰発現させたtransgenic mouse(p122-TG)を作成し、免疫染色にてこのことを確認した。さらに頚静脈的エルゴノビン投与により体表面心電図にてST上昇が観察され、冠攣縮が誘発された。p122TGマウスの心臓ならびに大動脈を速やかに摘出し、ランゲンドルフ灌流装置にて実験を行った。p122TGマウスではエルゴノビンを投与後の圧センサーにて冠動脈灌流圧の上昇を認め、冠攣縮が誘発されたと考えられた。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載された平成26年度の研究計画がおおむね実行され、カルシウム拮抗薬による冠攣縮抑制効果の作用機序解明に向けて、非常に興味深い結果が得られており、上記区分(2)に該当すると思われる。
交付申請書の研究計画に沿った実験をすすめていく。特にAKAP79/150の冠攣縮における役割をAKAP79/150ノックアウトマウスを用いて検討し、AKAP79/150の細胞内カルシウムイオン上昇における役割を明らかにしていく。
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