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2014 年度 実施状況報告書

心-肺腎連関に与えるミッドカインの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461121
研究機関山形大学

研究代表者

宍戸 哲郎  山形大学, 医学部, 助教 (60400545)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード心不全 / 腎不全 / 心筋細胞
研究実績の概要

ミッドカインは胎生期に中胚葉で主として発現する増殖因子である。がん患者の予後とミッドカイン血中濃度との関連が明らかとなってきている。加えて、がん組織ではミッドカインの発現が亢進しており、血管新生、腫瘍増殖などに関与する可能性があり着目されている。ミッドカイン刺激による細胞内シグナル伝達経路に関しては腫瘍細胞ではあきらかにされつつあるものの、心血管病では明らかでない。そこで、心筋肥大に与えるミッドカイン刺激の意義を検討するために培養心筋細胞を用いて検討を行った。ミッドカイン刺激により心筋細胞においてERK1/2がリン酸化することを見出した。このリン酸化は、ミッドカイン濃度、時間依存性にリン酸化が起こることを明らかにした。同様に、ミッドカイン刺激によって、JAK/STAT,AKTが引き起こされることを見出した。ミッドカイン刺激と心筋細胞肥大の関連を明らかにするために、培養心筋細胞にANPルシフェラーゼをトランスフェクションしミッドカイン刺激によるプルモーター活性の検討を行った。ミッドカイン刺激によって、優位にANPプロモーター活性が亢進していた。加えて、ミッドカイン刺激による心筋細胞サイズを検討したところ、想定通りミッドカイン刺激後、心筋細胞は肥大することを確認した。ミッドカインが作用するメカニズムを明らかにするために、刺激後の心臓でのチロシンキナーゼ活性の検討を行った。ミッドカイン刺激後、EGFRのリン酸化が亢進していることを明らかにした。ミッドカインによる心筋肥大シグナルの亢進が、EGFR阻害薬前処置や EGFR-SiRNA によって抑制されることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

以下の2点において、予想以上に進行している。
動物モデルでの検討準備が完了し、野生型マウスとノックアウトマウスの実験を開始することができていること。
MKによる心肥大肥大に関するシグナルを同定したこと。
一方で、ミッドカインによるチロシンキナーゼ活性亢進の詳細な機序がまだ明らかとなっていないところが課題である。

今後の研究の推進方策

腎臓由来の MDK を介した心機能障害メカニズムの解明のために、8-12 週齡の MDK-KO マウスと野生型マウスで慢性腎不全モデルを作成し、胎児型遺伝子発現、病理組織、心エコー検査による心機能等の検討を行う。
ラット血管平滑筋細胞とヒト遠位尿細管細胞に酸素濃度調節機能付インキュベーターを用いた低酸素刺激や H 2 O 2 刺激を行い、MDK の発現の変化を確認する。低酸素刺激と H 2 O 2 刺激下での腎尿細管細胞における HIF1活性を HIF1 Reporter assay で検討を行った後に、HIF1-SiRNA を用いて MDK の発現変化量の変化を定量 PCR と Western blotting 法で検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

親マウスの増産が遅れたため、使用可能なマウスの繁殖が予想より少なかった。その分、飼育費用と実験材料購入費が少し残った。

次年度使用額の使用計画

次年度分として動物実験の遅れを取り戻すために親マウスの数を増やしており、昨年度分で減少した分を上回るマウスを繁殖する予定であり、その維持費用に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Impact of serum omentin-1 levels on cardiac prognosis in patients with heart failure.2015

    • 著者名/発表者名
      Narumi T, Watanabe T, Kadowaki S, Kinoshita D, Yokoyama M, Honda Y, Otaki Y, Nishiyama S, Takahashi H, Arimoto T, Shishido T, Miyamoto T, Kubota I
    • 雑誌名

      Cardiovasc Diabetol.

      巻: 13 ページ: 84

    • DOI

      10.1186/1475-2840-13-84.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrocardiographic left ventricular hypertrophy cornell product is a feasible predictor of cardiac prognosis in patients with chronic heart failure.2014

    • 著者名/発表者名
      Otaki Y, Takahashi H, Watanabe T, Kadowaki S, Narumi T, Honda Y, Hasegawa H, Honda S, Funayama A, Nishiyama, Arimoto T, Shishido T, Miyashita T, Miyamoto T, Kubota I
    • 雑誌名

      Clin Res Cardiol.

      巻: 103 ページ: 275-284

    • DOI

      10.1007/s00392-013-0646-2.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of renal tubular damage with cardio-renal anemia syndrome in patients with heart failure.2014

    • 著者名/発表者名
      Otaki Y, Watanabe T, Takahashi H, Narumi T, Kadowaki S, Honda Y, Arimoto T, Shishido T, Miyamoto T, Konta T, Kubota I
    • 雑誌名

      Int J Cardiol.

      巻: 173 ページ: 222-228

    • DOI

      10.1016/j.ijcard.2014.02.044.

    • 査読あり
  • [学会発表] Senescence marker protein 30 protect the cardiac injury from after ischemia reperfusion.2014

    • 著者名/発表者名
      Kadowaki S, Shishido T et al.
    • 学会等名
      American Heart Association Scientific Sessions 2014
    • 発表場所
      マコーミックプレイスコンベンションセンター(アメリカ合衆国シカゴ)
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-19
  • [学会発表] The HECT type E3 ligase ITCH ameliorates left ventricular remodeling and mortality after myocardial Infarction.2014

    • 著者名/発表者名
      Otaki Y, Watanabe T, Takahashi H, Narumi T, Kadowaki S, Honda Y, Arimoto T, Shishido T, Miyamoto T, Kubota I
    • 学会等名
      American Heart Association Scientific Sessions 2014
    • 発表場所
      マコーミックプレイスコンベンションセンター(アメリカ合衆国シカゴ)
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-19

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公開日: 2016-05-27  

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