哺乳類心筋細胞にも分裂能があると最近報告された。しかし、その詳細は不明であるため本研究ではそのメカニズムを検討した。 上行大動脈結紮モデルを作成し、更に圧除去モデルとして結紮解除も行い、心筋細胞分裂を観察した。心筋分裂マーカーを用いた観察では、すべての心筋細胞ではなく、比較的小型の単核心筋細胞が有意に多く分裂マーカーが陽性となった。さらに遠隔期にそれらの細胞は成熟心筋へと分化した。遺伝子発現解析でも、単核心筋細胞のみが心筋分裂能を有していることがわかった。圧解除によりその頻度は増加した。以上より、単核心筋細胞は外的なストレスにより分裂・分化する心筋前駆細胞としての機能を持つことが示唆された。
|