研究課題/領域番号 |
26461133
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90199951)
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研究分担者 |
三木 隆幸 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00336405)
丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00398322)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネクロプトーシス / オートファジー / 細胞内情報伝達 |
研究実績の概要 |
H9c2細胞を用い、ネクロプトーシスとオートファジーとの関連について解析を進め、以下の実験成績を得た。 1)TNF-alphaとz-VAD(以下TZ)処理によるネクロプトーシスは、クロロキンによるオートファジー阻害によって増悪されることなく、一方、ラパマイシンによるオートファジー促進によって部分的に抑制される。2)p62ノックダウンならびに過剰発現は、いずれもTZ処理によるネクロプトーシスを増加させる。3)RIP-1阻害によるネクロプトーシス抑制はp62に依存しない。4)TZ処理により、オートファジーに重要なp21とLC3-I, LC3-IIの結合が抑制される。5)TZ処理はLC3-IIを増加させ、この効果はクロロキンによっても影響を受けない。6)TZ処理によりオーフォファゴソームは増加するが、オートリソゾームへの形成は抑制される。7)ラパマイシンによるオートファジーの促進(オーフォファゴソーム、オートリソゾームの増加)をTZ処理は有意に抑制する。 以上の実験成績より、ネクロプトーシス誘導シグナルによって細胞保護的オートファジーが抑制されることが、ネクロプトーシスに寄与していることが示唆された。また、ネクロプトーシス誘導シグナルによるオートファジー阻害の機序には、p62とLC3-IIとの結合の抑制が考えられた。 TZ処理がオーフォファゴソームを増加させる機序がオートリソゾーム形成阻害のみであるのか、TZ処理がp62-LC3-II相互作用を阻害する機序は何か、またTZ処理により増加するp61-RIP1結合はどのような意義を持つか、といった問題が残されており、次年度での検討課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネクロプトーシスにおける透過性遷移孔の役割の検証に続いて、ネクロプトーシスとオートファジーとの関連という新知見を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
TZ処理によるネクロプトーシス誘導がオートファゴソームを増加させる機序はオートリソゾーム形成阻害のみであるのか、TZ処理がp62-LC3-II相互作用を阻害する機序は何か、またTZ処理により増加するp61-RIP1結合はどのような意義を持つか、といった課題について、解析を進める。またTZ処理によるネクロプトーシスから得られた知見が普遍的なものであるのかについて、異なるネクロプトーシス誘導シグナルを用いて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に実験消耗品の一部をより安価なものに変更した結果、若干の未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品費購入に当てる。
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