研究課題
本年度は、まず国立循環器病研究センターに心不全入院し、推算糸球体濾過量(eGFR)が40-60の腎機能が軽度から中等度低下した49名の患者(心不全群)の血漿インドキシル硫酸値(IS)を年齢性別をマッチングさせeGFRが40-60の住民健診受診者(対照群)のISと比較した。その結果、対照群のISは0.12±0.07μg/mlであったのに対し、心不全群のISは1.38±0.84μg/mlと高値であった(p<0.001)。心臓超音波検査による評価では、心不全群と対照群を合わせて左心室の収縮性の指標である左室内径短絡率(FS)とISとの関係を検討した結果、FSとISに良好な相関関係が認められた(r=-0.35, p=0.009)。次に、G3-G5の慢性腎臓病(CKD)を合併する心不全入院患者で慢性腎不全用剤である炭素微粒体(AST-120)を投与されている患者8名のAST-120投与前および投与1年後のISと心機能を、G3-G5のCKDを合併する心不全入院患者で慢性腎不全用剤である炭素微粒体(AST-120)を投与されていない患者8名のISと心機能をレトロスペクティブに比較検討した。その結果、AST-120投与群ではISが1.40±0.76μg/mlから0.93±0.63μg/mlに低下し(p=0.035)、eGFRが25±5から29±6に改善した(p=0.008)。さらに脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が352±248pg/mlから244±213pg/mlに低下し(p=0.015)、FSが29.4±12.0%から32.5±11.5%に改善した(p=0.049)。一方、AST-120を投与しなかった群ではこれらの改善効果が認められなかった。以上のことから、心不全患者ではISが増加し、AST-120投与によるIS低下療法により心不全患者の心機能が改善することが明らかになった。
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