研究課題
本年度は、心筋特異的SOCS3ノックアウトマウス (SOCS3-cKO)の左心収縮能の低下と左心室径の拡大など拡張型心筋様の表現型の発症メカニズムについてさらに検証を進めた。また、平行して行っていた平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウス (SOCS3-sKO)にも心筋線維化の亢進の表現型を見いだし、SOCS3-sKOの表現型の解析も同時に行った。SOCS3-cKOマウスの心筋組織を電子顕微今日で観察した。野生型マウス (WT)と比較し、ミトコンドリアの脱落が目立ち、オートファゴソームについてはSOCS3-cKOマウスで数が減少している傾向があり、nを増やして再現性を検証して行く予定である。オートファジーを調節する分子であるparkin、PINK1、P62/SQSTM1、Bnip3などのウエスタンブロットにより測定したところ、parkinとPINK1の発現がS OCS3-cKOマウスで優位に低値であった。P62/SQSTM1とBnip3の発現は明らかな差を認めなかった。SOCS3-sKOマウスは、加齢と共に心筋線維化が優位に増加することを見いだした。アンジオテンシンIIを持続投与すると、心筋線維化はSOCS3-sKOマウスで顕著となることも明らかとなった。これらの結果は、平滑筋細胞内のJAK-STAT-SOCS3経路が心筋線維化に深く関わっていることを示している。今後は、SOCS3-sKOマウスにおける線維化亢進が、心筋肥大や差心機能にどのように影響しているかを検証して行く予定である。
2: おおむね順調に進展している
申請時に計画した実験がほとんどできている。また、思いもよらない新たな知見もでてきており、おおむね順調に進展していると考えられる。
左心収 縮不全を起こす直前のSOCS3-cKOマウス心臓を用いてジーンチップ解析を行う。これにより、特に細胞死、オートファジーに関する遺 伝子プロファイルを作成し野生型マウスと比較評価する。また、平滑筋特異的なSOCS3ノックアウトマウスの表現型を詳細に解析し、心筋特異的SOCS3ノックアウトマウスと比較評価することによっても、心不全、心筋傷害、や心筋リモデリングの新たな知見が得られると期待される。
予定していた実験が次年度に行うようになったため。
miRNA関連の実験において試薬購入に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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