研究課題
肥満に伴い、脂肪組織に形成された慢性炎症は、全身で動脈硬化症をすすめる要因となる。また、動脈硬化の病態では、マクロファージをはじめとしたさまざまな免疫細胞が病態形成に寄与する。このように、個体や組織のレベルで、免疫と代謝とは密接に連携している。このような従来の知見を踏まえ、私は、マクロファージの細胞機能としての炎症応答が細胞代謝と連携し、細胞レベルでの「免疫-代謝」の連携を形成しているのではないかと想定した。TLR(Toll-like receptor)4活性化による炎症応答の過程で、マクロファージは炎症促進形質から炎症収束形質へと変化した。マクロファージが多彩な脂肪酸を合成することに注目し、細胞内脂肪酸を網羅的に定量解析したところ、マクロファージは炎症応答の後期に抗炎症活性をもつ不飽和脂肪酸の合成を増加させ、自律的に炎症収束形質へと変化することを明らかにした。さらに、敗血症モデルを用いたin vivoでの検討から、マクロファージが合成する不飽和脂肪酸が、全身の炎症応答の収束に必須であることを明確にした。本研究成果は、Cell Metabolism誌(2017年2月号)に発表した(Oishi et al. SREBP1 contributes to resolution of pro-inflammatory TLR4 signaling by reprogramming fatty acid metabolism. Cell Metab 25: 412-427, 2017)
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