研究課題/領域番号 |
26461148
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宮田 昌明 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00347113)
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研究分担者 |
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
桶谷 直也 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (70598010)
小澤 政之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90136854)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 葉酸レセプターβ / 活性化マクロファージ / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
活性化マクロファージ(Mφ)に特異的に発現する葉酸レセプターβ(FRβ)に対するモノクローナル抗体を用い、3つの研究を行う。①抗FRβモノクローナル抗体を用いた蛍光分子イメージングにより動脈硬化モデルマウスに対する薬物治療による動脈硬化抑制効果を感知できるか前臨床試験を行う。②抗FRβモノクローナル抗体にマイクロバブルを結合させた造影剤により、活性化マクロファージが存在する不安定プラークを認識する超音波による分子イメージングを大型動脈硬化モデル動物であるアポ蛋白(a)過剰発現クラウンミニブタを用いて前臨床試験を行う。③血中の可溶性FRβ濃度をELISA法により測定し、動脈硬化や心房細動患者の治療による変化を検討し、予後予測因子となるかを検討する。 ①FRβモノクローナル抗体を用いた蛍光分子イメージング:抗FRβモノクローナル抗体をAlexa Fluor 488で標識し、アポ蛋白E欠損マウスの尾静脈から注射投与し、2時間後、マウスを屠殺し大動脈全体を摘出し、MaestroTM in-vivo imaging systemにて488nmで励起し、520nmで撮影し蛍光発色を画像解析し分子イメージングを行った。 ②抗FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージング:アポ蛋白(a)過剰発現クラウンミニブタの動脈硬化病変を解析中である。 ③ELISA法による可溶性FRβ血中濃度測定の臨床的意義の検討:ヒトFRβ発現B300-19(マウスB細胞株)をラットに免疫した腹腔内リンパ節を用い、細胞融合法にて抗FRβ抗体を作成し、サンドイッチELISA測定法を用い、ヒト血清の可溶性FRβを測定する方法を作成し、大動脈瘤や冠動脈疾患患者で測定した。 また、本研究に関する「動脈硬化又は動脈硬化性疾患の治療剤、及び動脈硬化又は動脈硬化性疾患の診断薬」の特許を取得した(特許第5896568)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① FRβモノクローナル抗体を用いた蛍光分子イメージング:FRβモノクローナル抗体を用いた蛍光分子イメージングを用い、最終的にはテルミサルタンあるいはフルバスタチン投与による動脈硬化抑制効果をこの蛍光分子イメージング定量解析で評価できるか検討することにある。現在、テルミサルタンを動脈硬化のモデルマウスであるアポ蛋白E欠損マウスに投与し、蛍光分子イメージングを行っており、概ね順調に実験計画どおりに進捗している。 ② FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージング:抗FRβモノクローナル抗体を用いFRβを認識するマイクロバブル(MB)による分子イメージングを我々が開発した大型の動脈硬化モデルであるapo(a)過剰発現トランスジェニッククラウンミニブタで行う予定であり、現在、apo(a)過剰発現トランスジェニッククラウンミニブタの動脈硬化病変の病理学的解析を進めるとともに研究に使用するミニブタを繁殖中であり、概ね計画通りに進行している。 ③ ELISA法による可溶性FRβ血中濃度測定の臨床的意義の検討:我々が開発したELISA法で胸部及び腹部大動脈瘤患者の血中可溶性FRβ濃度を測定し、コントロールに比べ、これらの患者では血中可溶性FRβ濃度が高値を示していた。今後、スタチンやARBの治療前と治療後6ヶ月、一年後に測定し、どのように変化するか検討し、治療効果や予後判定に用いることができるか検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
① FRβモノクローナル抗体を用いた蛍光分子イメージング:12週齢の普通餌飼育のアポ蛋白E欠損マウスをテルミサルタン群10匹とコントロール群10匹に分け、10週間後の22週齢で蛍光分子イメージングと動脈硬化組織像の検討を行い、両群を比較する。蛍光分子イメージングは、抗FRβモノクローナル抗体をAlexa Fluor 488で標識し、一匹あたり100マイクログラムをアポ蛋白E欠損マウスの尾静脈から注射投与し、2時間後、マウスを屠殺し大動脈全体を摘出し、MaestroTM in-vivo imaging systemにて488nmで励起し、520nmで撮影して行う。 ② FRβモノクローナル抗体を用いた超音波分子イメージング: distearoylphosphatidylethanolamine-PEG(2000)biotinとdistearoylphosphatidylcholineとpolyoxy-ethylene-40-stearateとを超音波処理してビオチン化されたマイクロバブルを作成する。このマイクロバブルとstreptavidinを30分間インキュベーションし、結合させる。その中の1x108を取り出し、EZ-Link(Pierce社)を用い、ビオチン化した抗マウスIgG1抗体と抗FRβモノクローナル抗体を30分間結合させて、FRβを認識するMBを作成する。このFRβを認識するMBをapo(a)過剰発現トランスジェニックミニブタに静脈注射して、超音波検査装置を用いて頸動脈や腹部大動脈画像解析する。コントロールとしては、抗FRβモノクローナル抗体の代わりに非特異的一次抗体を結合させたものを用い、画像を比較する。 ③ ELISA法による可溶性FRβ血中濃度測定の臨床的意義の検討:大動脈瘤患者の血中可溶性FRβ濃度がスタチンやARBの治療前と治療後6ヶ月、一年後にどのように変化するか検討し、治療効果や予後判定に用いることができるか検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度まで継続される申請であり、2314円を次年度に使用することが適切と判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
2314円を次年度に繰り越して物品購入などに充当する。
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